No.6
□どうしようもないくらい天然の可愛いヤツの話
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『ネズミが傍にいるなら僕はどこでもいいよ?』
「あー、バカ!このバカ!!」
バカらしい。なんでこんなバカのために、おれは演じてみせたんだろう。
そしてどうして紫苑の言葉に胸が熱くなり、嬉しいと思ってしまうんだろうか?
『僕、バカ?』
なんか真剣な顔してるし。
『ネズミ…?』
柔らかい髪。白髪、いや銀髪の方が正しいか。それをくしゃくしゃと撫でる。
「不用意に傍にいたいとか一緒にいたいとか言うな。…誤解されるぞ。」
『うん。でも、ちゃんと自分の気持ち言いたかったから。』
…こっち見てそんなふうに笑うな。調子が狂う。
「なんか、紫苑に負けた気がする。」
『え?僕の勝ち?』
「調子に乗るな。」
そう言うと紫苑は、しゅんとしたように俯いた。
あー、やっぱりコイツ天然だ。
END