マジカル☆ラビリンス

□エピソード
2ページ/4ページ

「好きな食べ物はー、チョコレート。チョコレートが入ってるものならなんでも好きだよ。嫌いなのはすっぱいもの」
「ああ、だから梅干し食べられないんですね」
「そう! 人間界に来て初めて食べたけど、あれは、あれだけは絶対イヤ! もう二度と食べたくないっ」
 梅干しの味を思い出したらしく、アスカはものすごくすっぱそうな顔をした。
 渡羽は苦笑して、
「栄養あるんですけどねー。俺は嫌いじゃないですよ、梅干し」
「あたしはイヤ。んー、この話題はもう終わりっ。他に好きなもの…ほうきで空飛ぶのは好きね。得意な魔法だし」
「姫様が唯一失敗しない魔法ですしね」
 ティアラの一言に、アスカはぴくっと頬を引きつらせた。
「悪かったわね、失敗ばかりで!」
 アスカはティアラの体を、指で何度もビシビシとつつきまくる。
「あああっ、すみませ〜ん! 痛いです、姫様ぁっ」
「あんたなんか、こうっ。こうしてやる〜っ」
「やーんっ」
「あ、あの…もうそのくらいで…」
 なんだかか弱い女の子をいじめているあくどい男のようだ。
「まあいいわ。あとは知らないところを探検することかしらね。
 それから嫌いなものは、勉強と細かい作業と……しつこいどこぞのストーカー男かしら。」
 ジト目でアスカはきっぱりと言った。その場にひゅうっと冷たい空気が漂う。
「…………………えーと…あ! じゃあ、家族のこととか訊いてもいいですかっ?」
 場を取り繕うように、渡羽はなるべく明るい声で言った。
 話題を逸らそうとしたのだろうが、まったく逸れていない。むしろ地雷を踏んでいる。
 アスカは、しつこいどこぞのストーカー男=シン=父親ということで、この質問には少し不機嫌気味に答えた。
「知っての通り、あのウザ父と女王陛下である母様、それから兄様と妹がいるわ」
「え、アスカって兄弟いたんですか? てっきり一人っ子かと」
 国王様が異様にアスカに執着していたから。
 と思ったがそれは口に出さなかった。言えばたぶん、余計にシンを思い出させるだろう。
 だが、意外にもアスカの方からそこに触れてきた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ