光と闇の輪廻(サンサーラ)

□第4廻
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 昨日の新入生歓迎会は盛大で、まるでお祭りのようだった。
 部活紹介もあり、どの部活に入ろうかころんは悩んでいた。帰宅部でもいいのだが、せっかくだから何かやりたい。
 しかし、男性部員のいるところだと体質上、問題がある。悩んでいると、制服の内ポケットから《ピロリン♪》と音がした。
 内ポケットに入れているクリカにメールが届いたようだ。見ると、明日の健康診断のお知らせだった。
 健康診断か…それも少し心配だ。中学の時は担当の医者が女性だったので問題なかった。
 しかし、今回からは別だ。医者が女性とは限らない。
 もしも男性の医者で、診断中に触ってしまったら、翼(はね)が出るのを我慢しなくてはいけない。
 この学園は人外も受け入れているとはいえ、あまり騒ぎにしたくない。
(一応、帰ったらシェルティナに相談してみよう。うーん、部活はどうしようかしら…)
 ころんはため息をつきつつ、クリカを制服の内ポケットにしまった。
「そんなに明日の健康診断が嫌か?」
 クリカを見ていた響が話しかけてくる。本来なら紗雪と二人で帰るのだが、今日は紗雪とではなく、彼と一緒に帰ることになった。
 なぜかというと、途中まで帰り道が同じだと知って、思い切って一緒に帰らないか誘ってみたのだ。返事は見事OK。
 しかし、そこで問題なのは紗雪だ。ボディーガードである紗雪は、なるべくころんと行動を共にしている。
 せっかく響に近づくチャンスを手に入れたのだ。どうせなら二人きりで帰りたい。
 そう思い、響の返事をもらった後、紗雪に一緒に帰れないことを伝えた。
 当然、理由を訊かれたが、男と二人だと知ったらあれこれ言われることは分かっているので、響のことは言わずに、なんとか紗雪を説き伏せ、今に至るのだが……
「う……別に、そういうわけではないようなあるような……」
 本当は部活のことで悩んでいたのだが、健康診断のことを気にしていると思ったらしい。あながち間違いではないが。
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