光と闇の輪廻(サンサーラ)

□第7廻
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「へぇー、それでころんたちがいたわけだ」
 咲に食事を与えるころんを眺めながら相模が言う。
 ころんはむすーっとむくれたまま、相模の方を見ようともしない。自然と紗雪も同席していて、不機嫌オーラを放ちまくっている。
「まあ、そういうわけだ。今のところは人手が足りないわけじゃないから、困ってはいないんだがな」
「それじゃあお邪魔しちゃったかな。ころんもなんか残念そうだし」
「なっ。別に残念そうになんかしてないわよ!」
「ふぅーん?」
 明らかに、図星だなと言っている笑みに、ころんは小さく「うっ」とうめく。響は「?」と小首を傾げた。
「……あ、咲ちゃん、もうごちそうさまね。じゃ、あっちでまた遊ぼうか」
 精一杯の笑顔で、ころんは咲を連れてダッシュで逃げる。紗雪も席を立ち、無言で相模を睨みつけてから、リビングを出ていく。
 そんな二人を見て、相模はくすっと微笑む。咲の食器を片付けながら、響は問いかけた。
「それで? 本当に何しに来たんだ?」
「だからお前の様子を見に…」
「俺はお前に言われた通り、高天を誘った! だが、お前も来るなんて聞いてないぞ!」
 手を止めて怒鳴る響に、相模はふっ、と冷笑を浮かべた。
「言ったらお前、反対するだろ? 自分の目でころんの様子を確認したかったんだよ。俺の思惑通り、ころんはすっかりお前にほだされてるな」
 ぐっと言葉に詰まり、響はシンクに食器を置き、食器を洗い始めた。リムルティーを飲み干し、相模は続ける。
「紗雪までいたのは予定外だが、予想範囲内ではある。このままいけば簡単にころん(あのおんな)を陥とせる。ふふ、楽しみだな。ころん(あのおんな)が陥ちて、毀(こわ)れた時の顔が」
 酷薄な笑みを浮かべる相模。響はボタンを押して水を止め、諭すように言う。
「相模……もうそんなことはやめろ」
「ん?」
「そんなことをしてなんになる! お前のためにはならないぞ!」
 喚声(かんせい)を上げながら、響は相模に詰め寄る。
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