光と闇の輪廻(サンサーラ)

□第2廻
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 入学式が終わり、江野沢がリモコンのスイッチを押すと、スクリーンは電源が落ち、自動で天井に収納された。
 リモコンを教壇に戻し、江野沢は出席簿を見ながら、
「外部から来た生徒は驚いただろうけど、学園長と理事長のあれは、二人の間では日常茶飯事だから気にすることないぞー」
 江野沢はからからと笑っているが、あんまりあってほしくない。
「それと、みんなには在学中に必ず携帯してもらいたいものがあるので、今から配るぞ。内部の生徒は持ってるから、外部の生徒にだけな」
 そうして配られたのは名刺のような電子カードだった。下部に一つだけ薄いボタンがある。
「これはクリエイトカード。これはクリエイト学園の関係者全員が持っていてな、学園の行事予定などを連絡するためのものだ。
 クリカは学園関係者であることを証明するものでもあり、生徒は常に携帯しなければいけない。
 学園からの連絡事項はクリカのメールで通知される。使い方は下のボタンを押して電源を入れると、メニューにヘルプがあるからそれを読むように」
 クリ学にはこんなものがあるのか。ころんは電源ボタンを押して電源を入れてみた。
 黒かった表面が明るくなり、3Dの待ち受け画面が表示された。
 アナログ時計と、いくつかのメニューアイコンだけのシンプルな画像。
(メールとメモ帳とカレンダー、プロフィール、あとは設定とヘルプだけなのね)
 画面をタッチして操作する。ヘルプを開くと説明の目次が出てきた。ヴァモバと使い方はそう変わらないようだ。
 その後、一人ずつ自己紹介をし、学園の仕組みや注意事項などの説明を受け、HR(ホームルーム)は終了となった。
「っと、言い忘れるところだった。明日の予定だがー、明日は新入生歓迎会がある。
 詳しいことは入学案内(パンフレット)に書いてあっただろうが、何か質問は?
 ――ないな。それじゃ、明日も元気な顔見せてくれよ!」
 出席簿片手に、江野沢は教室を出る。窮屈な時間が終わり、生徒たちはすばやく帰り支度を始める。
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