マジカル☆ラビリンス

□3rd
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 高い空を滑空しながら、アスカはぼやいた。
「あいかわらず、どこもかしこも人ばっかり。ホント、人間界ってごちゃごちゃしたとこねー。それにしても、渡羽の学校ってどこだろ」
 アスカの呟きに、ティアラは目を剥いた。
「姫様! 渡羽さんに言われたでしょう。来てはいけないって」
「分かってるわよ。ただ、どこにあるかくらい知っておきたいだけよ。行ったりしないわ」
 笑顔でそう言うアスカに、ティアラは半眼で、
「本当ですかぁ? そうやっていっつも、ウソついて修行サボったり、どこかに遊びに行ったりして、よく女王陛下に叱られるじゃないですか。今回もそうやってウソついて、学校に行くつもりでしょう」
 ずばり心の内を言い当てられ、アスカは内心ぎくりとした。
(ぎくっ。さすがティアラ。あたしの考えてることは全部お見通しってわけね……)
 アスカは引きつった笑顔で、念を押した。
「ヤダなぁ、ティアラってば。そんなことないわよ。ホントに行かないったら行かないわよ」
「信じられませんっ」
「もう、ティアラってば疑り深いんだから。大丈夫だから心配しないで」
 駄目押しに、ばちん、とウインクをしてみる。しかし、ティアラには無意味だった。
「それでいつも騙されるんですよねー」
「しつこいなぁ。ホントに行かないって――」
「はーっはっはっはっ!」
 出し抜けに聞こえてきた聞き覚えのある笑い声に、アスカは静止した。
「ん? このカンに障る笑い声は……」
 冷や汗を垂らして、おそるおそる振り返った。
「シン!!」
「ごきげんよう、アスカ姫。お元気そうで何よりです」
 浮遊魔法で浮いているのだろう。そこにいたのは、アスカにしつこくつきまとっているストーカー男、シンだった。
 コバルトグリーンの髪にアイスグリーンの瞳。
 ストライプのスーツをシックに着こなし、貴族がするように胸に手を当て、恭しく腰を折って一礼した。
「またあんたなの、シン! なんの用なのよ!」
 嫌悪感をあらわにするアスカだが、シンは気にも留めた様子はなく、優雅に前髪を掻き上げた。
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