マジカル☆ラビリンス

□エピソード
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「え? あたしの誕生日がいつかって?」
 棒アイスをぱくりと頬張り、アスカはきょとんと聞き返した。
「はい。昨日言ったじゃないですか。これからはアスカのことをいろいろ知りたいって。それで、まずは手始めに誕生日から訊こうかと」
 カーペットの上で正座して、渡羽はカップアイスを片手に微笑んだ。
「俺たちが初めて会った日、誕生日だって言ってましたから、あの日がそうですか?」
「ううん、確かにあの日、あたしは誕生日だったけど、日にちは少し違うよ」
「え? そうなんですか?」
 目を丸くする渡羽に、かき氷を食べていたティアラが補足する。
「魔法界と人間界では時間の流れが違うんですよ。魔法界の時間はこちらの半分の速さで進みます。
 こっちが一時間進んでも、あっちでは三十分しか進まないというわけです」
「そうなんですか…じゃあ、アスカの誕生日って…」
「あたしの誕生日はあっちの四月七日!」
 アスカは食べ終えたアイスの棒をゴミ箱に捨てた。
「四月七日ですね。俺は十一月一日なんですよ」
「へぇ、1続きなのね」
「はい。ですから覚えやすいと言われます。でも、1続きで覚えてる人にはたまに十一月十一日や一月十一日と間違えられたりするんですよね」
 その一例がバルカンだ。小学生の時に、バルカンは渡羽の誕生日を1続きということで、なぜか一月一日と覚えていた。
 いくらなんでもそれはないだろう。渡羽は当時を思い出して少しむかっ腹を立てたが、アスカには笑顔で尋ねた。
「えーと、じゃあ、次は好きなものとか嫌いなものを教えてくれますか?」
「好きなものは、渡羽かな」
「……そういうことではなくて」
 赤面して、渡羽はちょっと俯いた。
「えへへ。冗談だけどウソじゃないよ。渡羽が好きなのはホントだもん」
「あ、ありがとうございます」
「んーと、好きなもの…それって食べ物とか?」
「ま、まあなんでもいいですよ」
 照れ隠しか、渡羽はぱくぱくと今までの倍の速さでアイスを口に入れる。
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