光と闇の輪廻(サンサーラ)

□第3廻
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 クリームソースを見つけ、カゴに入れた。
 ついでにお菓子やジュースも物色した後、会計を済ませ、入口脇に寄りかかって響を待つ。
 しばらくして、響が会計を終えて出てきた。決して少ないとは言えない荷物の量に、ころんは呆気に取られた。
 帰り道、どうしても気になったので訊いてみた。
「ずいぶんたくさん買ったのね。何買ったの?」
「……いろいろ」
 ほんの少し気になる間を置いて、響は微妙な返答をした。ころんもそれ以上追及しなかった。
 そのせいか、気まずい雰囲気になってしまった。
(き、訊いちゃいけなかったかな。せっかく二人っきり…っていうか、碧君と会えただけでうれしいんだけど、それなのに私のバカ〜っ)
 とりあえず沈黙だけでも破りたくて、ころんは話題を変える。
「碧君! え〜と…あ、明日、学園見学があるわよね! 楽しみね〜」
「俺は入学前にいろいろ回ったから、そうでもないけどな」
「…………そ、そう。…えーと、じゃあ…その見学って一人で行ったの? 誰かに案内してもらったとか?」
「現学園長に案内された」 
「学園長に?」
「…というより、あれは連れ回されたと言うべきか……」
「………………」
 さらに空気が重くなる。墓穴を掘って、ころんは『穴があったら入りたい』状態に陥った。
(きやーっ、私のバカバカバカバカっ! もっと気まずくなっちゃったじゃないのーっ)
 立ち止まり、ころんは頭を下げた。
「……ごめんなさい」
「なんで謝るんだ?」
 響も立ち止まって振り返る。
「碧君の機嫌悪くさせちゃって…ごめんなさい」
 うなだれるころんに、響は顔をしかめた。
「何か勘違いしているようだが、別に俺は怒ってないぞ?」
「え、だって…」
「…さっきのことで勘違いしてるんだな」
 ため息をつく響に、ころんは「ごめんなさい!」と三度謝る。
「いや、いい。俺の方こそ、すまなかった。…どうも他人と話すのは苦手というか…慣れないんだ」
 目を瞬かせるころん。響は口元を手で押さえて、困ったように目を逸らした。
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