光と闇の輪廻(サンサーラ)

□第1廻
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 眠っていた少女は、ふ…と目を開け、夢うつつで天井を見つめた。
 陽光がカーテンの隙間から入り込んでいる。朝だ。
(また同じ夢……)
 ここ最近、同じ夢を見て目が覚める。時計を見ると、目覚ましをセットした時間まで十分はある。
 この夢を見るようになったおかげで、時間より早くに目が覚めるようになった。
 まとめていた長い亜麻色の髪をほどき、丁寧にブラシでとかすと、パジャマから制服に着替えた。
 部屋を出ようとして忘れ物に気づき、机に歩み寄る。
「おはよう、ママ」
 机上のデジタルフォトフレームには、少女と瓜二つの女性が写っていた。
 金色の髪と翠の瞳、白い肌、華奢な体、白いレースの服。白くて大きな縁つきの帽子を、風に飛ばされぬように押さえながら、こちらに向かって微笑んでいる。
 朝の挨拶をすると部屋を出た。洗面所で顔を洗ってからダイニングに入ると、朝食のいい匂いがする。
「シェルティナ、おはよう」
「あっ、おはようございます、お嬢様!」
 青いメイド服姿の少女が、フライパン片手ににこやかな顔で出迎えてくれた。その背中には小さな水色の翼がついている。
 群青色の眼に、同色の長い髪は右側のサイドテール、その内の半分が三つ編みリングという一風変わった髪型だ。
「今日もお一人で起きられたのですね。良いことです」
「んー、またあの夢見ちゃって」
「例の不思議な夢ですか?」
「うん」
 食卓にはすでにいくつか料理が並んでいる。席に着くと、最後の料理が運ばれてきた。
「おいしそう。いただきます! あ、パパは?」
「旦那様は本日もお帰りにはなれないそうです。お仕事の方が手詰まりのようで」
「そう…」 
 もう三日も帰ってきていない。昔からなので心配はしていないが、少し寂しい。
「お嬢様も今日から高校生ですかー。ふふっ、時間が経つのは早いですねぇ」
「なーに? 急にしみじみと」
 苦笑すると、シェルティナが向かいの席に座って頬杖をついた。
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