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□手紙
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連日のアクア団との抗争に疲れていた




未来への手紙




自分の部屋に帰ると、ベッドに倒れこんだ。

ここ数日寝ていなかったのを思い出す。

アクア団とかいう対抗勢力の対策を立てているうちに気づかない間に徹夜をしてしまっていた。

何故こんなに必死になって対策を立てようとするのだろうか。自分でもよくわからない。

だが目的の前に出てくる障害物を排除したい一心で私は動いていた。

…ような気がする。



目がさえている。
眠れそうもない。



立ち上がってカーテンのところまでいった。

隙間から光が漏れていた。もうじき朝なのだとわかる。

このままでは寝ても仕方ないかもしれない。

振り返ると、すこし散らかった部屋が見えた。

そういえば久々に部屋に帰った気がする。

部屋はどことなく埃っぽくて、空気は澱んでいた。脱ぎ捨てた団員服と棚からこぼれおちた本が散らばっている。

帰らない間にこんなに汚れていたのかと思うと、気がめいった。

どんな時でも自分の周りは完ぺきにしておきたかった。

それが非常時でも。


それは一種の強迫観念だったのかもしれない。

私は団員服を拾い上げて、ハンガーにさした。

本も拾い上げて棚へ戻した。

空気も入れ替えようと窓を開けた。

埃っぽい部屋に朝日が差しこむ。

何となく嫌な気分だった。
光は、私を暴く。
私の醜いものを表裏に出してしまう。そして、私の居場所を奪ってゆく。


いつしか私は光の無いほうへと、部屋の奥へ逃げていた。

なんとなく棚のほうへ近づく。

整理された棚には上から順に古いものが収納されている。

一般書籍にファイル、ノート。

残したいものはすべてこの棚へしまっている。

本を手に取ろうと一冊引き出す。

すると、どこからこぼれたのか、一枚の紙が落ちてきた。

それは封筒だった。

日付は10年前で、宛名はない。

自分はこんな手紙を持っていただろうか?

中には便箋が一枚入っていた。



…思い出した。これはまだ私が子供のころ、アオギリといった古代ポケモンのフェスタで書いたものだ。

確か未来の自分に手紙を出そうとかいうものだったと思う。

中には便箋が一枚入っていた。

開こうとすると、私はそれをとり落としてしまった。



手紙が落ちる。

拾って開こうして、やめた。

読まないほうがいいような気がする。

当時の自分が何を思っていたのかは知らないが、今読んだらいけない気がする。

今必死なこの気持ちが、消えてしまいそうな気がする。


私はそっと、手紙を封筒に戻した。
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