SS

□シンドローム
1ページ/2ページ

シンドローム


町はずれのモーテルのベッドはスプリングが弱っていて、動くたびに軋んだ音がした。
スネークはサイドボードに置いていた煙草の箱を取った。箱には三本の煙草が入っていた。
今日はいつもより減るスピードが速い。一本銜えて火をともす
「私にもくれ」
隣で寝ていた男、ボブが寝返りを打ちながら言った。スネークはその口にくわえさせ、火をつけてやった。
紫煙が立ち上る。長く伸びた煙が天井に当たって拡散していく。部屋の隅に置かれた空清機が低いうなり声をあげた。
スネークも一本くわえて火をつける。息を吐くと二本分の煙が絡んだ。
ボブが少しむせた。灰皿を置いてやると、まだまだ残っている煙草がぐしゃりと押し付けられた。
「残り少ないんだ、最後まで吸えよ」
「身体に悪い」
「今更だな」
スネークは隣の男の顔に煙を吹きかけてやった。迷惑そうな顔が涙目になる。
そのまま煙を吸って一気に口付け、口内に流し込んでやった。ボブは今度こそ盛大にむせた
「やめろ」
「なら吸うな」
ボブは手を伸ばして水差しから直接水を飲んだ。あふれた水が喉を伝って胸に流れていく。
スネークはもう一度押し倒そうかと思ったが流石に怒鳴られると思いやめた。
だが紳士面して上品ぶっている顔がゆがむのには子供じみた優越感を感じる。
昔この男が出ているショーを見たことがあるが、これはそのとき感じたものと酷似している。
この男を抱いたのもきっと、崩してみたかったからだ。

ボブは水差しを置くとベッドに腰かけてガウンをとった。スネークは腕を伸ばして背中の子供じみた入墨をすっとなぞる
「なんだ」
「バート」
手が払いのけられた。ボブは白いガウンを羽織ると立ち上がって、少しうめいた
スネークはかすれ声で笑った
「悪いな おまえがここまで上物とは思わなかった」からやりすぎた
「私以外の男と寝たことが?」
「当たり前だ」
ボブはため息をつくと髪をかきあげた。そして少しあるいて部屋の隅の冷蔵庫を開けた
「ビールとってくれ」
「自分で取れ」
冷蔵庫が閉められる。ボブはベッドに戻った。足を延ばして組む。このモーテルのガウンは意図的に短く作られている気がする。
スネークは白い太ももに手を滑らせた。途端に手をはたかれる。
ボブはビール瓶の栓を歯をひっかけて開けた。
「あまり酔うなよ、四時にはここを出るぞ」
「わかってる」
ボブはビールを一口飲んで顔をしかめた
「猫の小便」
「喧嘩売ってるのか?」
スネークはボブの腕を押さえて彼にのしかかった。ボブは迷惑そうな顔をした
「やめろ、こぼれるだろう」
「時間があるからもう一発やるか、飲むより簡単に忘れられるぜ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ