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□ほとんど創作AM文
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アオギリや周りの人が傷ついてるのを知ってた。
贅沢な悩みかもしれないけれど、私は、特別など望んでいなかった。
こんな思いをするくらいなら、なにもなくてよかった。
勉強も運動も、全部親にかまってほしくて頑張っていただけだ。
アオギリを愛したのだって、あれは本当は愛じゃなかったんだと思う。
きっと私を等身大で見てくれる人だったから、傍にいてほしかっただけで。
父さんも母さんも私に冷たかったから、温もりがほしかっただけで。


お前なんか本当は愛してなかったんだ


私の中にはもう一人の私がいた。
傷つけられるときに、罪をかぶる私と、みんなの前で笑って、勉強する時の私。
あの時も、私は悲しくて、辛くて、だからもう一人の私に言った
「お願いだ、私の代わりにでていってくれないか」
もう一人の私は子供だった。体中あざだらけで、傷だらけのかわいそうな子供。
だが子供は頷いて、外へ出ていった。私は真っ暗な空間に一つの証明がともる場所で、一人椅子に座った。

私は卑怯者だ。
あの子だって初めはおしゃべりで明るくて、綺麗な姿だったのに、でもいつのまにかしゃべることをやめてしまったし、体中あざだらけになった。
そして人のすることすべてを疑い、無駄に裏を読み、そしてどんな好意も素直に受け取らなくなった。
人前で笑っても、心の底から笑うこともいつしかやめて、偽りの笑いをみにつけた。
だからあの子が表に出ても、たとえ何を言われた時も黙って言葉を受け取ることができた。
だから私も、笑って人と接することができたのだ。
あの子が何もしないで、さざ波を立てなかったから。

ああ、私は罪人だ。
小さな子供を身代わりにして、私はなにがしたいんだろう。
難しい数式や難解な文章を解読しても、もう何にも面白くない。

ある日、あの子がいつにもましてぼろぼろになって戻ってきた。
あの子はほとんど狂っていた。それでも理性を忘れることができずに
自分の心と格闘して、そして惨敗した、かわいそうに、でも私はなにもしてやれなかった。
だからその日以来、私も表に出ることをやめた。
現実にさらされた自我が狂っても、二人とも何もしなかった。
みんなおかしくなってしまえばいいと思った。私は少年をを抱きながら、暗闇の中でずっとじっとしていた。
互いの偽物の体温だけが、そこにあった。
私もおかしくなってしまったようだ。
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