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□愛に関する短い思考
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少年はクスクス笑った。
男には何故か判らなかった。
ねえ、殺人鬼、アンタのことを知ってるよ
でも何を知ってるのかは教えてあげない
オレの一番愛しくて、一番憎い人。



愛に関する短い思考



「聞いてんのかよ、サイドショーボブ」

膝に乗せた少年が声を出した。
ふくれっ面だった。ボブは急速に思考していた
脳内の一種の冷めた過熱が覚めて
全く違うものがあふれるのを感じた。

「聞いているとも。その子の将来が心配だよ」
「ボブ、ネルソンのこと心配するの」
「子供は地域みんなで守るべきだからね」
「なにそれ。犯罪者のアンタがそれを言うとか、こっけいだね」

ボブは少年、バートの頬をつついた

「また新しい言葉を覚えたのかい?」
「本を読んでると、自然と頭に入ってくるんだ」
「そうか。おまえも本当は賢いんだな」

そうなのかな、とバートは考え込んだ。
本当は素直な子供。そのやわらかな髪をなでていると
彼の妹や、父や、母親のことを頭に浮かぶ。

「でもリサには勝てないよな、アイツって誰の遺伝子継いだんだろ」
「いい大学に進めるといいな」
「リサなら大丈夫だろ。アイツができてなんで俺ができないのかなあ。オレ親父の遺伝子継いじゃったのかも――。」

ボブは突然、バートの首にキスをした

「いきなりなにするんだよ?」

バートはボブを見た。その目には暗い炎が宿っていた。
ああそうか。これは合図だ。バートは目を伏せた。
ボブはそっとバートのほほをさわった。バートは
優しくほほ笑み、目を閉じた。
ボブはキスをすると少年を押し倒した。
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