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□さえためとあたまで
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大学構内
研究室棟

「自分の甥を実験材料にしているとは本当かね」
歩きながら教授が言った
マツブサはくびをふった
「治療をしているだけです。放っておいたら、あの子は悪しきものに利用されるか心無いものに傷つけられてしまうでしょう」
教授は静かに言った
「縛られてはいけないよ。君ほど優秀な者は少ない」
マツブサは目を伏せた
「しかし、自分の甥の心も理解できません。私はできそこないです」
人として。
教授はなにも言わなかった

大学入り口
正門前
「マツブサ」
アオギリが待っている
マツブサは駆け寄った
「どうしたんだ」
アオギリの顔色は真っ青だった
「あの子が、あの子がいなくなった」
「どういうことだ」
「緑の髪の男があっという間に連れて行ってしまったらしい」

マツブサは背筋の悪寒と衝撃を同時に感じた。
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