☆オタカラSTORY☆

□■Promised land
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約束に時効なんてない。

そう、言いたかったのでしょう、ビヨンド?

あなたがそれを望んでくれるのならば、私は、あなたとの約束を、果たしましょう。




-Promised land-






「10数えたら、追い掛けます」
「うん」

まだ幼い頃の記憶。

子供らしい微笑ましい遊び。

賭かっていた勝者へのご褒美は、およそ子供らしさからはかけ離れていたが。

「私が勝ったら、あなたの愛をください。私を、一番好きになってください」
「いいよ、捉まえられたらな」

勝ち気に微笑んだ顔が、幼少期に見た最後の彼だった。





「L、一緒に来なさい」

いつになく深刻なロジャーの表情に、ビヨンドを、追えない事を悟った。

そのままワイミーに従い院を出された私は、Lとなりワタリを従え世界の裏に、君臨する事となる。

ビヨンドも、間もなく院を出たと聞く。

導く者も居ないまま、幼い彼がどう過ごしどう生きたのか、恵まれた私には推測する事しか出来なかった。







「犯人は、Bです」



早く見付けて!

早く捕まえて!

悲痛な叫びが私に届く。



Bは私に約束を思い出させる為に、私に唯一言葉を届ける手段として、血でその身を染めたのだろうか。

一人で、ずっと待っていてくれたのだろう。

私が、あなたを捉まえて抱きしめる時を。





白い壁、白いカーテン、白い包帯。

真っ白だったあなたの肌は、今は隠れて見る事ができない。



「捕まえました」
「うん」

「ビヨンド」
「うん?」

「ごめんなさい」
「‥うん」

愛しい人は、疲れ果てボロボロに傷付き横たわる。

共に歩く筈だった道の途中で、私は彼の手を離してしまった。

迷子になった彼は、泣きながら暗い道を夢中で走った。

私に見付けてもらおうと、私の名を叫びながら決死の覚悟で。





もう決して離したりはしないから。

言いかけた私の手を、今度はあなたが離してしまう。

「L」
「はい」

「捕まえてくれてありがとう、嬉しかった」
「はい」

「一番好きだ、愛してる」
「はい」




幼い幼い小さなB。

彼の時間はきっと無垢なまま、あの日に止まってしまった。

10数えると言ったきり、私は10年も数えてしまっていて、彼の一人きりで過ごした年月を思えば悔やむに悔やみきれない。

後悔は、先に立たなかったどころか役にも立たない。



Bは旅を終えて安住の地で眠りに就こうとしている。

長い長い旅の途中、彼は光を見付けられず、暗闇の中でその瞳に何を映してきたのだろう。

汚く、目を覆いたくなるものばかりを見尽した瞳は、今はただ、世界を拒否して閉じるばかり。




温かい食事を用意しよう。

柔らかいベッドで一緒に眠ろう。

寂しい夜はもう終わった。

悲しい夢ももう見せない。


差し伸べた手は愛しげに撫でられた後、そっと離された。





「L」
「はい」

「さようなら」





あの時私が掴まえていたら、あなたは私の手を取り、また、笑ってくれたのだろうか。






...fin...









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