☆オタカラSTORY☆

□夜風と夏色
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見慣れた部屋。
いつもの音。


開け放たれた窓から、
夏の夜が流れ込んできて
夏の、風の音。


このところ、
いつも張り詰めた顔をしたメロに

少しだけ、この懐かしい音
を聞かせてあげたくて


昼のうちに、窓際に下げて
おいた風鈴。


その窓際の壁を睨んで、
私の隣でチョコレートを
齧りながら

メロは言う。



「…耳障りな音だ」


「メロはね、こういう音に、
少し癒された方がいいのよ」


「あぁ?」


「ほら、すぐそんな顔して…。
私はメロの笑ってる顔が見たいのに」


「なに言ってるんだ」


「あ、照れた」


「…殺すぞ」


「こわーい。…でもそんな鋭い目のメロも好き」


「…言ってろ」


メロは鼻で短く息をついて
ちょっと俯いて

また、チョコを齧る。



夏の夜風は、そんなメロの
髪を微かに揺らした。





夏の、次の日。


見慣れた黒い服に
見慣れない色。


どこでどう用意したのか、
ちょっと想像がつかない、


夏の、大きな黄色い花。



「…どうしたの、これ」


「別に…夏だから」


「夏だから、なに?」


「何だっていいだろ」


「聞かせてよー」


「自分で考えろよ」







「…ケチ」


「でも好きなんだろ?」








「…大好きよ」



私がそう言うと、
メロは、笑った。




見なれた部屋に
いつもの音と、

夏の風、夏の花。



その季節より熱い想いを込めて


「ありがとう、メロ」












DAREさま 4000Hits記念の拍手夢でした

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