手塚 国光

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『あ、』



下校途中、ふと見つけた人影。
大粒の雨と青い傘のせいで顔は見えないけど、制服で分かる。
青学生だ。



『しゃがんで何してるんだろ?』



気分でも悪いのかな、なんて思って足を踏み出す。
と、同時に聞こえた声。



「寒いだろう」



聞いたことがある。
確か、



「家へ来るか?」



手塚先輩!



立ち上がったせいか、傘の間から見えた顔。
そうだ、朋ちゃんと桜乃ちゃんが言ってたテニス部の部長さん。
確か生徒会長、してるんだよね。



「オイ、暴れるんじゃ、」



慌てたような声に顔を向けようとしたら、足元に1匹の猫。
雨に濡れたせいか、フルフルと震えている猫を抱え、手塚先輩へと歩む。



「君は・・・」

『青学の1年です。この猫ちゃん、手塚先輩のお家で飼うんですか?』



ずい、と腕を伸ばし猫を手塚先輩へと渡す。



「あ、あぁ。この雨で弱っているみたいだしな」

『そっか。よかったね、猫ちゃん』

「君、」

『はい?』

「いや、なんでもない」



猫を受け取り腕に抱く手塚先輩。
朋ちゃんの話から想像してた人とは、なんだか別人だなぁ。



『手塚先輩、猫ちゃん大切にしてくださいね』

「あぁ」



堅物で、鉄仮面被ってるんだから!なんて言ってたのに。



『それと、一ついいですか?』

「?」

『手塚先輩の下の名前、聞いてもいいですか?』

「俺の、下の名前?」

『はいっ!』



私が見た手塚先輩は、とっても優しい顔をしてた。



「俺の名は――・・・」





そんなあなたに一目惚れ!



END

(名前を聞いて、好きな食べ物を聞いて。これから、貴方のことを知っても、いいですか?)




20070320

企画サイトあいらぶゆう。様へ提出
燈子さま、ありがとうございました!




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