MiseeS

□華
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 この願いが、届いてしまったからいけなかったのだろうか。
 それはだれも知ることのできないことだけれども、それでも私は時々思うわ。
 私がいなければよかったのだろうか、と。
 きっとあの方はそんなことない、って笑い飛ばしてくださる。そして私もそれを望んでいる。だって、そうでなかったなら私はとっくに壊れているから。
 けれども、一抹の不安は消えるどころか募ってゆくばかり。

 だれか、私を助けて。

 その願いすら、天には届かなんだ。
 あの子を産んだ私が悪いとでもおっしゃるの?
 あの子を愛した私が悪いとでもおっしゃるの?

 いいえ、それは筋違いというものだわ。一番悪いのは、あなたでなくて? ねぇ?
 それを口に出すことは叶わなかったけれど、少なくとも私はそうおもったわ。

 私でも、あの方でもなく、あなただと私は思うの。
 ああ、代わることができるのなら、代わってやりたい。あの汚い渦の中から、あの子を救い出して、平和を与えてあげたい。
 それができないなら、いっそ私は……──

 あの子は耐えていけるかしら。あの子は誰かに守ってもらえるかしら。
 私の血が混ざったあの子。私の一族の血に侵されたあの子。
 穢れを知らないけれど、あの子は生まれながらに穢れている。かわいそうな子。
 平和も、共存も知らない子。
 きっとあの子を求めて争いが起こり、たくさんの人々が死ぬわ。

 そしていつしかあの子は、それが自分のせいだと気づいてしまう。
 悩み、苦しみ、抜けることのできないその闇の中で、もがき苦しむことでしょう。

 でも、私はあの子に忘れてほしくないわ。
 どんなにあなたが自分自身を嫌っても、あなたにはたくさんの味方が、仲間がいるのだということ。そしてそれがどんなに尊いのかということ。
 それをあなたには忘れてほしくないの。
 ああ、穢れた血を受け継ぐかわいい、かわいいあの子を、私はずっと遠く、そう、地の果てより遠くから、見守っているわ。忘れないでね。
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