この場に不釣り合いなほど陽の光がまぶしい。
石に囲まれたこの空間のただひとつの窓からもれる光。
今日でここともお別れ。
そう思うと、悲しくもなる。
……いや、悲しいのか?
私は悲しいのか?
嬉しいのか?
どうでも良いのか?
それすらわからない。
これは罰なのだ。
禁忌を犯した、私への罰なのだ。
私は禁忌を犯してしまった。
魔法が溢れるこのくにでそれは、もっとも恐ろしく、穢れ、偉大なことだとされていた。
それは時の流れに逆らうこと。
……私は時の流れに逆らったのだ。
流れに逆らい、運命をねじ曲げようと、変えてしまおうとした。
神など信じてはいなかった。
神がお創りになったものを変えてはならない。さすれば、天罰がくだろう。
そんなもの怖くなった。
ただ、私はそれをしてはいけない立場だった。
この国の王女たる者が、そんなことをして良いはずがなかった。
国、いや世界でもっとも美しく強大な魔法を使えるのが王女である私だった。
しかし、あの方がなくなられてから私は、私の生活は変わってしまった。
笑いはなくなり、喜びもなくなった。感情がなくなりかけた。
何をしても何も感じない。
それには耐えられた。
そんな退屈な日常には耐えられた。
だが、耐えられなかったのだ。
あの方が居ないこの寂しい風景に。
だから、私は消される。
私がしでかしたことを公にすれば、王国はあっという間に崩れるだろう。
だから、秘密裏に消される。
さよなら、さよなら。