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□歪んだ箱庭
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「みんなに残念な知らせがある。アレン君が教団の脱退を宣言して、行方不明になった」
それを聞いたエクソシスト達をはじめ、科学班や捜索班などの教団員はみな騒然となった。神田以外は…
神田だけはどこか納得したように、あるがままの事実を受け入れた。
壇上には、一番近くにいたにも関わらずアレンの暴挙を止められなかったと泣きじゃくるリナリーと、同じくその場にいたラビが、悔しそうな顔をして、静かに俯いている。
「うっ…ひっく‥アレン君、どうして…」
「…」
「リナリー…アレン君は、教団を辞めるってこと以外、何も言ってなかったかい?」
「言ってたわ。ひっく…でも、それが、わけ分かんないのよ…」
「わけが分からない?」
怪訝そうな顔をしたコムイにラビが答えた。
「AKUMAを全部破壊しおわって、やっと帰れる〜ってときに、突然笑いだしたんさ。それで…『マナが帰ってきた!!これでやっとあの時に戻れる!!』っつって…」
「それで、教団を辞めるって言い捨てて、どこかへ行ってしまったの…」
「俺もリナリーも追おうしたんさ、でも2人とも深手を負ってて、追い付けなかった…」
「そうか…ここにいる全教団員に通達する。アレン・ワォーカーの除名は一時保留。50人体勢で捜索チームを結成して…」
コムイが団員達にてきぱきと指示を出すのを見て、神田は聞こうともせず背を向けてその場を立ち去った。彼らのしようとしてることが無駄だと分かっているから。
ふと、あの日の夜のことを思い出した。