Theater of the end

□+子供+
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キャロは妖獣達を倒し、イザクと少年の姿をジッと見た。二人とも、ただならぬ気迫だ。
(…イザクさん、頑張ってください…!)
キャロは心から祈った。
「フン、どうしたの?そんなに睨まないでよ。こないなら…コッチカラ行クゼィ!」
少年は叫んだ。そして真っ直ぐイザクに向かってきた。
「ハッ、ガキが。調子に乗るなよお喋りサン。」
イザクはヒュっと移動し、少年の後ろへ回った。
「…!しまっ!」
「大丈夫だよ。」
イザクは言った。
「私は、正式な戦いでなければ勝っても意味がない。
正々堂々やらせてもらう。」
「くっ!」
少年はイザクに向き直った。
「ずいぶんナメられたもんだな。俺がそんなことを気にすると思うか?
残念だったな。せっかくの勝機を逃しちまったもんなぁ。」
「そんなことはどうでもいい…。」
イザクはキッと少年を睨んだ。
「私はお前を潰す。それだけだ。」
「フ…やってごらん?」
それからはキャロはあんまり覚えていない。二人とも強く、素早い攻防が続いたからだ。
ただ一つ、覚えているのは、

「ハァ!」
キィィィン…!
イザクの剣が少年の拳ではじかれてしまった。
「もらったぁ!」
少年は最後の一撃を入れようとした。
ヒュっ
イザクはすっと避けてすぐに
バシッ・・・!
そこには、ほうを真っ赤にした少年と、顔を伏せたまま、掌を赤くしたイザクがいた。
「…お前、劇場で何を見たんだ?」
「…へ?」
イザクは、静かに聞いた。
「お前は何を見てこんなことをした?」
「お、俺は…。」
少年は、そこで涙を流した。
「俺は、親父とお袋が取られたんだ!もともと大嫌いだった両親をな!
だけど、だけどそしたら独りぼっちで、ずっと寂しくて!そしたらあいつが、協力したら助けてやるって。俺、もうそれしかできなかったんだ!」
イザクは少年の頭を優しくなでた。そして言った。
「お前がこんな事したのはよくわかった。だが良かったな。両親の大切さがわかって。その気持ちは大切だ。だが少し、手段を間違えたな。」
そしてイザクは手を出して言った。
「私達は劇場を破壊するため旅をしてきた。そして、同じように記憶が蘇った仲間達とともに進んでいる。
お前もきっと、その仲間だ。…一緒に、来ないか?」
イザクが言うと少年は泣きながら、微笑んだ。
「お願いします。一緒に連れてってください。」
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