Theater of the end

□+起動+
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その日、17歳を迎えたキャロ・リトルは、夕食が終わると屋根の上へ行き大好きな星を眺めていた。
キャロには親がいなく、ずっと叔母の家で暮らしていた。
なぜいないのかは覚えてないし、ここでの暮らしも気に入っていた。叔母は自分には魔法の才能があると言って、たくさん勉強させてもらった。モノに命を吹き込む魔法だ。
いとこ達も自分を兄のように慕ってくれて居心地は最高だった。
だがいつも何かが違っていた。今よりずっと前の感覚とは少し違う気がしていた。
だから今日も屋根の上で、ずっと昔の事を考えていた。
「何が足りない…?」
気がついたらそう呟いていたとき…
「……!」
全てを思い出した。あのおぞましい舞台を。
ずっと忘れていた、十年前の記憶。それら全てを鮮明に。
自分の傍らに懐かしい少女が座っていた。
「…おねえちゃん…?」
自分に姉などいないはず。だけどあの記憶の少女は姉としか思えない。
…忘れていた。姉のこと全てを。なぜかわからない。だが彼女は自分のお姉ちゃんだ。
「そんな、なぜ…。」
キャロは劇場が今も動いていることを確信した。
あの危険な舞台を今もたくさんの子供達に見せ、魂を取っていき心を染め上げている。
姉の様な子供を創り続けていると。
「このままじゃいけない…!」
キャロは歩き出した。何故かはわからずとも、彼は真夜中に居心地の良かった家を出て
大好きな星を眺めながら甦った記憶を頼りに。
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