Theater of the end

□+少年+
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その日の夜。
キャロはいつものように星を眺めていた。
「キャロ…。」
ふと声がしたので振り返ると、そこにはコウランがいた。
「こんばんは、キャロ。」
「…こんばんは。」
「となり、いいか?」
「あ、うん。いいよ。」
すっとキャロの隣にコウランが座った。
そしてしばらく二人で星を眺めていた。
「あのさ。」
とつぜんコウランが声をかけてきた。
「ん?なに?」
「どうでもいいことだけどさ。」
「ウン。」
すうっと息を吸って思い切ったようにコウランは言った。
「あんたはあの人が好きなのか?」
「…へ?あの人って?」
「とぼけんなよ。イザクさんに決まってるだろ。」
「え、え、えええええ!?」
キャロは顔を真っ赤にして驚いた。
「…その驚きようは、図星だな。」
コウランはふっと笑った。
「…うん。もうわかってるなら、いいや。」
キャロはしぶしぶながらも認めた。
「でも、何でわかったの?」
「わかんないのはお前とイザクさん、あとあのジェシカってコぐらいだよ。」
コウランは呆れたように言った。
「そ、そうなの?」
「うん。」
コウランははっきりと言った。
「そりゃわかるって。あの時あんだけ泣いてりゃさ。
誰だって彼女のことが大切って事ぐらいわかるよ。」
「うひゃあ。ほんとに?恥ずかしいな。」
キャロはますます顔を赤くして言った。
だが表情は楽しそうに笑っていた。
「ま、俺みたいに勘のいいヤツは一目見ただけでわかっちまうんだなこれが。」
「う。確かに僕は鈍感って言われてるけど…。」
「うん。鈍感だよな。」
「…ごめんね。」
コウランはにっと笑って言った。
「別に悪いことじゃないんじゃないか?
それだけ鈍感だったら色々と、楽だと思うぜ。」
コウランは少し、悲しい表情を見せた。
「コウラン…?」
キャロはそれを見逃さず、心配して声をかけた。
「はは!大丈夫だって!これくらい…。」
コウランは笑っていたが、目に涙がにじんでいるのが見えた。
「…僕には話したくないことかい?」
「………あのな。」
コウランはしばらく黙ってから、話し始めた。
「俺もイザクさんに惚れてたのかなぁ。
お前が彼女を好きだってわかるとなんだか、ちょっと。」
「…ゴメンネ。」
「いや。俺こそゴメン。こんな話しなきゃよかったかもな。」
「ううん。してくれて良かった。」
キャロはニッコリ笑って言った。
「僕、ずっと悩んでたんだ。イザクさんを見るたびドキドキしてたのを。
イザクさんがいなくなるって聞いて本気で悲しくなったから。
でもやっとわかった。
僕が彼女を好きだからってね。」
へヘッと笑うキャロを見て、コウランはつられて笑っていた。
「お前ってホント鈍感だな。」
「生まれつきなんだよね。これが。」
そういう二人の姿を後ろで見守っていたのは、
いつもより少し大人の顔をしたカーンだった。
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