金の華

□Restart
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【Side:L】

あの人の下から逃げてパプワ島に来て、あの人と再び会うまでに四年もかかった。
まさか追いかけて来てくれるとは思ってなかったから、あの時は死ぬほど驚いたけど……

けど今は分かる。

あの人とはまた離れる事になっちゃったけど、また性懲りも無く俺を追いかけてきてくれてるって。
ちょっとだけ、本当にちょっとだけだけど、成長した俺を見て笑ってくれるって分かってた。
だから俺、シンタローさんに殴られて、トシさんに泣きつかれた後でアンタに首を絞められても、前みたいに驚いて叫んだりしなかったろ?
だって本当に分かってたんだ。
またアンタに会えるなら今だって。
アンタみたいな人がタイミングなんて外すわけがないよな。
いつだってアンタは、俺が傍に居て欲しい時に来てくれるんだから。

ほんの少しの間だけど、また隊長に会えて良かった。
皆も居たから恋人みたいに抱き合ったりは出来なかったけど、短い時間の間に沢山笑ってくれたし、それとなく抱き寄せてくれた。
俺のほんの少しの成長を見付けて褒めてくれた。
そして何より、俺の事を信じて好きにさせてくれた。

「隊長、俺は赤の番人だから……赤の一族の為に行って来ます」

それが俺のやるべき事。
隊長も認めてくれて、背中を押してくれた。
だから俺は行って来ます。
パプワやシンタローさんやコタローと一緒に。
だけど……

「俺は、隊長の為に帰ってきますから」

今度は四年も離れてたりしません。
アンタが来るのを待ってたりしません。
やるべき事を終わらせて、ちゃんとけじめをつけて、それから隊長の所に帰ってきますから。
だから俺が帰ってくるまで、今度は隊長が待っていてくださいね?


「戻ってきたら、キスして愛してるって言ってくださいね」





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