金の華
□青と青の境界線
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目の前には青い海。
そして、同じくらいに青い空。
そのどちらも俺には恋しい色で、身近にある色だ。
「どうした、リキッド」
後ろからの声に思わず心臓が飛び跳ねた。
伸びてくる腕に躊躇いながらも抵抗せず、引き寄せられれば記憶と少しも違和感のない体温が俺を包む。
「ストーム……」
「俺はどうしたんだって聞いてんだよ」
溜息混じりに名前を呼べば、不機嫌そうに返された。
苦笑を浮かべながらも、拘束する腕を押し返して体を離す。
いくら違和感がないとは言え、所詮ストームもあの人とは違う人間だ。
俺が求めているものは、手に入らない。
「ただ空が綺麗だなって、思っただけっすよ」
ストームは怪訝そうに顔を歪めたけど、生憎と本当のことだ。
ただ、空があんまりにも青くて綺麗だから。
海とは全く違うものだと、主張していたから。
【あの人】らしいと笑いたかっただけだ。
「空も海も、同じ青なのにどうして違うんでしょうね」
同じだったら、俺は罪悪感なんて感じないままストームと過せたんだろうか。
あの人の温もりと面影を重ねて、ストームの腕に縋れたんだろうか。
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