金の華

□It's mine!!
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兄貴言われて嫌々参加する事になったパーティー。
俺の部下でもある特戦のメンバーも、普段とは違う正装に身を包んで澄ました顔で立っている。
奴等も良い歳した大人だ。
度胸もあるから慣れた様子でパーティーに溶け込んでいる。
だが、予想通りというか何と言うか……

「リキッド、そんなに緊張する事でもねぇだろ」
「だって、知らない人が一杯……」
「人見知りの激しい赤ん坊かよ」

俺の後ろをついて歩くリキッドはこういった場所に免疫がないらしく、常にびくびくと周囲を伺っていた。
下手に慣れていてあちこち行かれるよりはマシなんが。

「やっぱり俺、艇に居たかった」
「仕方ねぇだろ。兄貴の命令じゃぁな」
「そうっすけど……」
「ったく。何か食い物取ってきてやるからそこで待ってろ」

釈然としない様子のリキッドの頭を撫でて、人の少ない壁際の方を指差す。

「俺も行く」

頑として首を横に振るリキッドに苦笑を漏らしながらあやすように頬に手を添え、親指で目尻を撫でる。

「疲れてんだろ?なら良い子にしておけ」

普段より低く落とした声で囁けば、耳を抑えたリキッドが小さく頷いた。
赤い顔を俯かせながら俺の指した場所へ向かうリキッドを見送ると、俺は中央の食事が置かれたテーブルへ足を向けた。





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