金の華

□幸福論
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「リキッド……」

コツンと額をくっつけて
互いの息がかかるまで近づいて
唇が触れるか触れないかの位置で
そっと、熱っぽく呟かれる。

「ハーレム、隊長……」

鋭いけど、どこか柔らかく緩められた蒼い瞳が俺を見据えた。
その瞬間が大好きで、瞬く間に俺の世界に隊長しかいなくなる。
俺のちっぽけな世界は、大きな隊長で塗り潰される。

「隊長、愛してます」

太い首に腕を回しながら、その耳元で小さく呟く。
聞えていなくても構わないと思っていたけど、どうやらそれはちゃんと届いていたらしい。

「俺もだぜ、リキッド」

背中に回された腕に力が込められ、視界一杯に隊長の蒼い瞳が広がった。
啄ばむような軽い口付け。
目を開くとまた、綺麗な蒼に支配されている。

これも、とても幸福な瞬間。

「愛してる……」

原始の森と
澄み渡る空と
澄み切った海とに囲まれて

優しく
美しく
力強く輝く蒼い瞳に包まれて、俺の幸せは作られる。


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