金の華

□I don't know…
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「リキッド」

呼べばすぐさまこちらに顔を向ける。
初めの頃は反抗的ながらもキラキラと輝く光が見えた瞳は、酷く濁って何も映してはいなかった。
その瞳を見れなくて、らしくもなく目を逸す。

「何すか、隊長」

意思と言うものが感じられない声に、思わず顔を歪めた。
俺が欲しかったのはこんな反応じゃない。
俺が聞きたかったのはこんな声じゃない。
そう思うのに、上手く伝えきれない自分に苛立つ。

「隊長?」

怪訝そうに俺を見てくるリキッドを軽く睨み付けると、大袈裟なほど大きく震えて身を縮み込ませた。
その瞳に浮かぶのは、紛れもない恐怖。
そんな顔をさせたい訳じゃないと、言えば少しは笑ってくれるのだろうか。



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