金の華
□It's mine!!
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俺が通れば自然に道は出来る。
ガンマ団の総帥の実弟だし、特戦部隊の隊長として実力もあるんだから当然だが、今日ばかりは勝手が違った。
普段は近づきもしないくせに、媚を売りにやってくるどっかの国のお偉方。
厚い化粧を塗りつけて、似合いもしないドレスを着込んだ女共。
たかが食い物を取りに行くだけで、思ったより時間を食ってしまった。
「離して下さいっ」
皿を片手に急いでリキッドの元に向かうと、突然そんな声が聞えた。
そちらに目を向けると、案の定金と黒の二色頭が何人かの男に囲まれている。
「ちょっと目を離した隙にすぐコレだ」
ガンマ団は男だけの組織だからか、同姓でもそういう対象として見る奴が多い。
リキッドにも再三忠告しているんだが、どういうわけか俺の可愛い馬鹿は警戒心と言う奴が極度に薄かった。
だから目を離すとすぐに悪い虫が集ってくんだよな。
「だから、俺は人を待ってるだけですってば!」
「じゃぁその人が来るまで、な?」
「そうそう。待ってる間暇だろうから俺達が相手になってやるって」
リキッドは懸命に男共を振り払おうとしているようだが、まだ遠慮しているのが見て取れる。
「待たせたな、リキッド」
「隊長!」
「……ハーレム様!?」
リキッドに声をかけると、俺に目を向けたリキッドが安心したように表情を和らげた。
そういう顔が男を誘うんだってのに。
相変わらず自分については何も分かっちゃいない野郎だ。
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