金の華
□Sweet×∞
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「たいちょ……?」
「此所に居るぜ?」
俺の隣りに眠っていたリキッドがゆっくりと目を開けた。
寝ぼけた様子でトロンとする目を擦りながら、リキッドはヘラっと笑みを浮かべる。
「たいちょーは寝ないんですかぁ?」
「お前の顔見てたんだよ」
どこか舌ったらずに話すリキッドの頭を撫でながら、咥えた煙草を灰皿に押し付けた。
寝ぼけたリキッドは、普段からは考えられない程素直で甘えたになる。
現に今も俺の手に擦り寄る素振りを見せながら表情を緩ませた。
その顔に俺の顔も緩むのが分かる。
「ほら、眠れ」
「やー。たいちょーが眠るまで眠らない」
まるで幼い子供がするように首を振ると、ゆっくりと起き上がった。
思わず苦笑が漏れるのがわかる。
普段は12時には眠くなっちまうガキが……可愛いと思ってしまう俺も、思った以上に頭がやられているんだろう。
「起きてられんのかぁ?」
「出来ますよ」
ムッとしたように頬を膨らましながら、リキッドは大きく欠伸をする。
薄らと、リキッドの蒼いリキッドの瞳が涙の膜が覆った。
そういうのがガキだって言ってんのに、こいつはいつまでも頑として認めない。
「明日は早いんだぜ?」
「……隊長も寝て下さい」
「お前が寝たら寝るよ」
リキッドの頭を撫でて、そのまま自分の胸に引き寄せる。
何の抵抗も無く起こしていた体を倒れさせ、リキッドは小さな溜息を漏らした。
俺の上が心地良いのかそれともよっぽど眠いのか、あんなに我慢していたのにリキッドの目は今にも閉じてしまいそうだ。
「ほら、もう寝ちまえ」
「やだ……」
「やだじゃねぇよ。もう限界だろ?」
チラッと壁に掛かった時計を見やれば、こいつの就寝時間はとうに過ぎている。
「だって……勿体無いっす」
「勿体無い?」
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