金の華
□Sweet×∞
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リキッドの言葉の意味が分らず首を傾げると、リキッドは何処か恥ずかしそうに俺の胸に額を押し付けた。
「言えよ、リキッド……」
リキッドの髪を指で梳きながら、ほんのりと赤くなった耳に口を寄せて低く囁く。
リキッドがこの声に弱いって事は知っている。
「だって……皆の前じゃこんな風に出来ないから」
蚊の鳴くような声で弱々しく呟かれた言葉は俺を喜ばすには十分なものだ。
「だから勿体無い、なのか?」
俺の質問に、リキッドは無言で頷く。
俺の中でこいつは常に可愛らしいガキだったが、正直此処までだとは思ってもみなかった。
リキッドを抱きしめて、その柔らかい髪に頬を寄せる。
「明日も明後日もその次も、夜はずっと甘えさせてやるから」
リキッドの顎を掬い上げ、額に口付ける。
触れるだけのそれにも真っ赤になって反応する姿はいつまでも初々しい。
「だから取り合えず、今日はもう寝ろ」
この偶然に出来た僅かな時間が惜しいと言うなら、そう思わせないくらい甘ったるい時間を作ってやるから。
そう論外に告げながら、精一杯の優しい口付けを送る。
リキッドの瞳に映る俺が、らしくもなく穏やかな笑みを浮かべていて気持ち悪くなったが、リキッドは幸せそうにしているのでまぁ良しとしよう。
「……約束、ですよ?」
「あぁ、約束だ」
「へへっ。それじゃ俺、寝ますね」
ようやく満足したのか、リキッドは俺の上から隣へと移動すると、俺の腕に頭を預けて目を閉じた。
その閉じられた瞼と緩みきった表情に笑みを一つ。
起きていても寝ていてもこいつは可愛いんだと、そんな事を思っているなんて口が裂けても言えない。
とにかく今は、ようやく眠りについた愛しいガキが起きないよう、俺も眠るとするか。
「GoodNaight,Liquid」
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