□七夕の夜は我侭に・・・
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『銀・・水とお前に酒を持ってきたぞ』
将臣がドカドカと廊下を歩いてくる。

『ありがとうございます』
『まぁ〜だ起きね〜か・・?仕様がね〜な!!』
『ここの所忙しくて余り神子様を構ってあげられませんでしたので・・・』
『普段は我慢してても酔うと本音が出るタイプだからな・・
 そうとう拗ねてたな』

そこがまた可愛いのでございますが・・・。
銀は微笑みながら望美を抱き締め直す。

『神子様・・お水をお飲みになった方がよろしいですよ』
望美の耳元で囁く。
『う〜〜ん・・飲ませて・・・』

銀の口移しで水を飲み喉を潤す。
まだ少し酔っているのか 潤んだ瞳で銀を見つめる。

『今夜は逢えて2人とも幸せだね』
『そうでございますね・・・』

ポロっと涙が頬を伝うのを見て 銀が慌てて指で拭う。

『どうかなさいました?』
『あたしも・・2人で居たいのに・・・』

銀はその言葉を聞くと 望美に口付けをする。
『申し訳ございません。邸に帰りましょう』

邸宅の濡縁で望美は銀に相変わらず抱きついている。
そんな望美を銀の瞳は優しく見守る。

『今宵は織姫も牽牛に このように甘えているのでしょうね』
『1年に1度だから・・もっともっと甘えてるよ・・・』
『神子様も もっと甘えて下さってよろしいのですよ』
『あたしは銀に毎日甘えたい・・』

フっと銀は笑うと ええ・・どうぞ御心のままに・・
そう伝え口付けを落とす。


『銀・・大好き!!』
『・・嫌いではなかったのですか・・?』
『何・・それ?』
『神子様が皆様の前で 銀なんて大嫌い!と大声で
 叫んでおりましたので私はてっきり嫌われたかと・・』
『えっ?覚えてないよ。ごめんなさい』

・・神子様に嫌われたのなら 死んでしまおうかと・・
そう決心したのに覚えてらっしゃらないと申されるのですか?
哀しい瞳で望美を見つめながら呟く。

望美は慌てて銀のご機嫌を取る。
『ごめんなさい。許して・・何でも言う事聞くから・・』

さっきまでの哀しい瞳はどこにいったのか?

『何でも・・ですね』
悪戯な瞳は否定を許さない言葉とともに輝く・・・。
しまった!と思った時はもう遅い。

『では・・朝まで神子様を私に下さいますね』

そういうと褥まで軽々と望美を抱き上げる。

ほら・・力強い腕で抱きしめられて
甘い声で囁かれその瞳で見つめられれば力が抜けていく。
サラサラの銀色の髪に指を埋めれば 心地良く
ちょっと冷たい唇は熱をもったあたしには 気持ち良くて・・・

『銀・・大好き・・』

全てを包み込まれたら もう あたしは敵わない。

          FIN

チモに続き七夕ネタです!
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