□伝えきれない愛
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望美の顔が見る見るうちに赤く染まっていく・・・。
『なってるじゃない・・・』
『なっていません!』
『なっています!!』
『いいえ。なっていません!!!』
『だって あたしは銀としかあんなことしてないんだから!!!』
『『『えっ?』』』
『はっ?』

銀の口角がゆっくりと上がるのと同時に 望美の口はパクパクと
酸欠の金魚のようになる・・・。

『左様でしたね・・・。確かにその通りですね・・』
噴出したいのを堪えながら 銀は望美に問いかけた。
『何か あたしまた勘違いしちゃった?』
『いいえ。貴女は私だけのものです。大事な事を忘れていました・・・』
勝ち誇ったような瞳が弁慶を見つめた。

『下らない焼餅に付き合ってしまったようですね・・・』
弁慶は苦笑しながら将臣を見た。
『全く・・・。望美が誰かと仲良く話をしているだけでこの調子じゃ
 先が思いやられるよ・・・』
2人は呆れた顔をしながら その場を去って行った。

『焼餅?まさか焼餅で この2日間無視してたの?』
望美が驚いた顔で銀の瞳を覗き込んだ。
『いけませんか?』
望美は深い溜息を吐いた。
『あたしが誰を愛して 自分の世界を捨てたか解ってる?』
『私であって欲しいですが・・・』
『何よ!!その言い方!銀が大好きだから・・・
 銀しか欲しくないから・・・』
ポロポロと止まったはずの涙が再び溢れ出した。
『誰でもいいなら・・・誰とだって寝てます。
 銀じゃなきゃイヤだから銀が此処にいるから・・・』
『神子様・・・』
『もう知らないんだから・・・』
『申し訳ございません・・・・。』
『焼餅を妬かれるのは嬉しいけど 2日間も無視するなんて・・・
 どんなに不安になったか解る?大好きな人に無視されたら・・・』
『私の事しか考えなくなる・・・』
『えっ?』
『何をしていても手につかなくなり 私の事以外考えなくなる・・・』
『ばかぁー・・・』
『手荒な事をしました。申し訳ございません・・・』

溢れ出した涙を銀の唇が優しく拭った。
『申し訳ございません』
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