『recollection』ー桜雷に涙の雨降れたり

□第七章:眠れぬ夜に…(後編)
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―――魔界・ブェルブニ邸


闇夜地帯。唯一、階級制の魔界…
魔界王族のトップ…ブェルブニ邸。無数の王族の中で一番歴史が古い。


「ヒカリ…ヒカリ」


銀糸の髪をした少女を抱えている男性が妹の名を呼ぶ。


「はい、兄様…」


「すまぬが…部屋を貸してくれ」


「畏まりました」


淡い紫色の髪をした女性がニコヤかな笑みを浮かべ兄に頭を下げた。


「この子が、噂の婚約者さんですか?」


「あぁっ」


「兄様…犯罪ですね」


「ヒカリ…痛い所を付かないでくれよ」


クスクス、と笑いながら自分の私室の扉を開ける彼女。魔王の愛娘“ヒカリ・エフィラ・ブェルブニ”…
魔界では噂の美女だ。


「血は争えませんね…」


意味を込めた科白を吐きながらベッドの布団を捲る。
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