小説

□火曜日の休み時間
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コロン、コロンと缶が音を立てて飴を出す。
休み時間毎に一つづつ、飴を口に放り込むことが当たり前になっている。
しんたろーくんにいつか糖尿病になって死ぬぞ、って言われたけど、そうなったらそうなったでまあいっか、って思いながら一粒口のなかに放り込む。

あ、これオレンジだな。


「……、」


オレンジを味わい、幸福感に浸っていたら隣の席からすごい視線を感じた。
首だけ動かして見ると、和成くんがこっちをじっ、と見てた。


「…なに、和成くん?」

「あー、いや。よくもまあ、そんなに飴食えるなって思ってよ」


俺なら絶対無理だな、なんて笑いながら言うから(なんとなく、ムカッときて)缶から飴を一粒取り出して、無理矢理和成くんの口のなかに突っ込んでやった。


「んっ!?」

「美味しいでしょ?飴」

「あ、あぁ」


柄にもなく少し顔を赤くした和成くんを見て、なんとなくこっちまで恥ずかしくなってしまった。
あぁ、そんなことより、飴を突っ込んだ時に指に触れた唇の感触が忘れられないのは、どうしたらいいんだろう…。




火曜日の休み時間

(彼の唇のせいで、)
(彼女の指のせいで、)
(授業がまともに受けられない)


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