06/20の日記
03:56
坂田君と銀時
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ねえ、どうしたら信じてもらえんの。
うな垂れる白い頭は、自分と同じ天然パーマで、だけど自分よりもふわふわしている。
嗚咽に震えそうな喉を堪えているのだろう声は低くしゃがれている。
アンタはどうしたの。なんで好きになってもらえたの。
そんなの俺が知りたいぐらいだってのに、このガキは、なんでそれをゴリラに尋ねず俺に尋ねるのか。
ため息をつきかけ、ああと銀時は気づく。
近藤に尋ねたところで、納得のいく答えなど返ってはこないだろう。
アレはおそらく、この俺と似ているようで似ていない、けれどどうにも<坂田銀時>な子どもを励まして慰めて可愛がるばかりだろう。
この子どもが求めているのは、もうちょいとばかり具体的なことだ。
それは、こちらの真選組局長の近藤勲に答えることは不可能だろう。
なにせ、あの男は俺を好いているようなことを口走ったがまったくの無自覚だったのだから。
その後に、あれはあれなりに悶々と随分長々と懊悩し、己の気持ちに決着をつけ、改めて告白というものをしてきた。
俺にしても近藤に対してアプローチなんてものはしたことがない。
いや。一度だけ、口を滑らせた。
が、それだって近藤が口走った後だ。
俺はこの子どものように、必死に近藤の心を得ようと努力をしたことなど一度もない。それは恋仲と言えるものになってからもだ。
逆に俺にすれば、なぜそんなにも<近藤センセイ>とやらを慕うのか聞きたいぐらいだ。
子どもが愚痴る限りでは、毎日告白して、毎日明瞭にお断りになっているのに、何故そうも気持ちを繋いでいられるのか。ただの意地なんじゃないのか。それは本当に、このバカが覗いたような体を繋ぐに至る感情ではなく、憧れが過ぎて斜めってるだけじゃないのか。
何故、そうも自分のきもちを信じられるのだろうか。
それが銀時には不思議でならない。
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