novel
□囚われた君と僕U
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「ジュンスヒョンは…95点、ですかね?」
「は?」
これが今朝起きた早々に言われた言葉。
その意味を理解しようと、寝起きで上手く働かない脳を必死に回転させる。
そんな僕とは対照的に、この生意気なマンネは平然とした表情で食事を続けていた。
「一体どういう事?何の点数?」
「だからそこが惜しいって言ってるんですけどね」
口元へと動かす箸は止むことは無く、次々と皿の中のモノは彼の口の中へと入っていった。
「ヒョンは歌もダンスもスポーツも何でも出来るでしょう?
周りからは100点満点に見えるけれど、貴方は物事に夢中になりすぎて大事なところに気付かないことがある」
耳を傾けながら、僕は彼と同様に箸を動かし朝食を口に運ぶ。
するとチャンミンは僕を見てフッと笑い、鋭い瞳でこう続きを口にした。
「けど、それが貴方らしいんです」
寝ぼけ眼でチャンミンを見ていると、彼は小さく笑って静かに箸を置いた。
言葉の意味を理解できないまま、その場に僕一人を残して立ち上がろうとする彼に質問を投げ掛けた。
「もう行くの?」
「えぇ、僕とユノヒョンは先に仕事の撮影が入ってるんです。だからもう行かないと」
身支度をしっかりとしている彼は、まだ寝癖のついたまま タンクトップと半ズボンという格好の僕とは大違いだった。
しかしユノヒョンの姿が見当たらず、何処に居るのかと尋ねると部屋で着替えをしている模様。
同じくユチョンの居場所を尋ねると、どうやらまだベッドでお眠りしているみたい。
「ジェジュンヒョンはさっきお風呂に入ってくるって言ってましたよ?」
「ふ〜ん、そうなんだ」
“ジェジュンヒョンの行方なら知っているよ”
なんて心の中で秘めながら、ヒョンが用意してくれた朝御飯を次々と口にした。
だってついさっきまで僕らは一緒に居たのだから、何処にいるのかなんて知りすぎている。
目を瞑ってみれば昨夜…いや、今日の記憶がパッと蘇る。
「ジュンスヒョン?箸が止まってますよ?」
チャンミンからの指摘を受け、僕は視線を彼に向ける。
するとチャンミンはいつもの顔でジッと僕を見つめていて、彼もハッとしたように自分の食べ終えた皿をシンクに運びに行った。