novel

□囚われた君と僕V
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笑顔の君を涙で濡らしてしまうなんて、俺には予想外すぎた。

悪夢は予告なしにいきなり訪れ、あっという間に通り過ぎていく。



繋ごうとした伸ばした指先は、空気を掴むだけで終わってしまった。


君は俺に背を向けて繋ごうとはしてくれなかった。



後悔既に遅し



不安が不安を更に煽り 火の中に油を注いでしまったかのように、物事は一気に炎上する。


誤解は更なる誤解を招き、真実を伝えられない思いは涙となり取り留めなく溢れ出る。



ジュンスを愛している気持ちに嘘や偽りなんて全く無いのに。



あの時の

去っていくジュンスの後ろ姿が頭から離れることはなかった。









君を涙させてしまった原因が、他の誰でもない俺自身だということ。

それが更に追い討ちをかけるように、俺の心をガラガラと崩していった。




君に手を伸ばす


しかし君はその手に気付かない




君は涙を隠すために俺を振り返ろうとはせず、ただ足早に去っていった。





そして俺も君と同じ様に、頬から伝う涙を隠す為に下を俯き後ろを向いた。


空いた手のひらがやけに物足りなく、握り拳をつくると 憂さ晴らしをするように壁に思い切り打ち付けた。







―――――………




‐JUNSU side‐





なぜだろう


胸騒ぎがして止まない。


不安が、ずっと胸の中にある。




ねぇジェジュンヒョン

この不安はどこからくるんだろう?

何故こんなに落ち着かないんだろう?



僕の目線の先に居るのは貴方なのに、貴方の視線の先にはいつしか僕じゃない誰かが映っているんじゃないか


そんな想いばかりが僕を追い詰めるように、次々と湧き出てしまう。




ジェジュンヒョン



僕を見て?



僕だけを、ちゃんと見て?




そうじゃないと、僕 不安で押しつぶされそうになる。

ヒョンの想いが偽りなんかじゃないってこと、僕も十分承知している。



だけど、僕は弱虫だから。


人目を気にせず会いたい。抱き合いたい。キスしたい。


だけど僕らは隠さないといけない秘密の恋。




幸せを感じるために、沢山の不安と緊張に耐えないといけないんだ。



ジェジュンヒョンの前で涙なんて流せない。

彼を困らせたくない。



だけど、辛い。


どうしようもない感情に挟まれて、僕の心は身動きとれずもがき苦しんでいた。




 
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