POKEMON'S DREAM
□第13話 ヒーローは最後に現れる!
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「レッ…ド、はぁ、はぁ…」
「「「『!』」」」
シバが苦しんでいる!
四人の意識はすぐに彼に向いた!
「レッド!気ィをつけえや!そいつは手ごわいで!
そのサワムラーは、手も伸びよる!!ワイは家、壊されたんや!きっとそいつやで!」
「ああ、マサキ。大丈夫、あいつが強いことはオレも知ってる!
なあ、マチス、クリア。この戦い、オレ一人にさせてくれないか!?」
「!」
『レッド…?』
突然そう言った彼に皆が驚く。
「確かにレッド、お前が今、ここにやって来るまでに、オレたちは相当力を使っちまった。今からフルパワーで戦えるとは言えねえが…」
「いや、それだけじゃあないんだ」
『他に理由が?』
「うん。
あいつとは…、四天王シバとはサシで決着をつけたいんだ!!」
『レッド…!』
「ヘッ。変わらねえなレッド。やめろと言っても…聞くわきゃあねえよな」
マチスはそう言うと、レアコイルを呼び、イワークの上から退く。
「フ…フフフ、フフフフ、フフフフ。
何故、オレの知らぬところでオレのサワムラーが使われたのか…!?何故、オレとレッドの戦いの記憶がオレの中で途切れているのか!?何故、オレは時折、苦痛と共に我を失うのか?」
シバが一歩踏み出す!
「そんな謎は…もう、どうでもいい!もう…どうでもいい!
今オレは、戦いを極める中で、好敵手と認めた男と対峙している!今度こそ、真の決着をつけられるのだから…!
いくぞ、レッド!」
「望むところだ、シバ!」
「エビワラー!!"ほのおのパンチ"!!」
フッシーに炎の拳が迫る!
「(まずい…、オレのフッシー・草に対して炎!!ポケモンを変えるか、イヤ…)」
レッドはニョロのボールを構えて思いとどまる。
くる
「"かみなりパンチ"!!」
今度は、電気を帯びた拳が迫ってくる!
『あのエビワラー…三つのタイプの力を持っているのか…!?』
その言葉どおり、エビワラーは炎・電・氷の拳を繰り出していた!
『レッド!相手は、複数のポケモンを使っているのと同じ状態だ!このままじゃっ…』
「大丈夫だよ!
オレも、同じようなポケモンを持っている!!」
レッドはそう言いつつボールを投げる!
ス―――ッ
『("何か"を…持っている!?)』
レッドはそれを持ち構える!!
「あれは…石!?」
『!』
ボン
「「『イーブイ!!』」」
ボールから出てきたのはブイだ!
「……!!」
「さあ、ブイよ!まずは何になる!?」
「何がこようと打ち倒すのみ!!"れいとうパンチ"!!」
「"れいとう"できたか!ならばこっちは炎の石!!」
キイイイイイン
「ブースター!」
カ!
ブースターの炎にエビワラーの氷の拳は効かない!!
「くっ!怯むなエビワラー!!」
「次は…水の石!!」
カ!
「シャワーズ!!」
「なんだと…!!ま、まさか!!」
「そうだ!オレのブイは…シャワーズ、サンダース、ブースターに自由に進化し、また戻ることができる。
もともとはロケット団によって施された悲しい能力だ。でも、ブイはこの力をオレの為に使ってくれると言ってくれた。
ブイ自身はこの能力をコントロールできずに苦しんでしまう。だがオレは…これらの石を手に入れた。
何度使ってもなくならないクチバ湾の進化の石!!ブイの能力をこの石のエネルギーが補うぜ!!」
「ウー!ハー!!
カイリキー!エビワラーを援護しろ!」
「こっちも援護だ!…ニョロ!!」
ガシィ!
それぞれがぶつかり合う!!
「ウー!ハー!
…ついに、ベルトを外す時がきたな、カイリキー!」
「な、なんやて!!やっぱりあのベルトに秘密が!!」
『……』
バカン!
『カイリキーの筋肉が…増大した!』
ぐおん
ニョロとブイがイワークから落とされてしまった!!
「ブイ!」
「ウー!ハー!!
本来は、ゴーリキーから進化する時に外れ落ちるこのベルトを、オレのカイリキーは"あえて"つけたままにしていた。
このベルトは強すぎるパワーをセーブするベルトだ。これを外す時は、その封印された力を解放する時!!!」
「くっ!"みずでっぽう"!」
「効かん!!」
びしゃん
カイリキーはニョロを掴むと、叩きつけた!
「ニョロォ!!」
「残念だが、勝負あったな。切り札のイーブイも落下し、ベルトを外したカイリキーに対抗する格闘要員もいない」
ギギギギギギ
ニョロはカイリキーの力に苦戦している!!
ピチョン
『水の音…?』
ユラリ
カイリキーの背後にある水溜りが揺れた!!
バシャア!
「「『!』」」
「なにい!?"みずでっぽう"の水溜りの中に…シャワーズが…!!?」
「そうだ!液体になる技"とける"!落ちたと見せかけ、水になって上がってきたぜ!!
そして最後は雷の石!サンダースの…、」
ミサイルばり!!!
カイリキーとエビワラーは退けられた!!
「……。フ…フフフフフ。
ウーハハハハ!!負けた負けた――――!!
レッド、オレはもとからワタルたちの計画などどうでも良かった。今更同調しようとも思わん。
それに、別の場所のカンナたちも…、レッド、お前の仲間が相手では、あるいは倒されているかもしれん。
人もポケモンも、闘い鍛えればどこまでも強くなる。オレは、そんな鍛え抜かれたポケモンと共に、生きてきた。そして、これからもな」
くる
シバが背を向く。
「満足のいく勝負だった。…ありがとう!」
シバは去っていくのだった。