POKEMON'S DREAM

□プロローグ
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― ヤマブキシティ ―



カタ… カタ カタ…



倒壊したシルフカンパニー本社ビルに近づく二人の人影が…。


「おーおー、派手に壊したもんだ」

「…」

一人は杖をつく老婆。もう一人は…、老婆よりも遥かに若い女性だった。


「これがあの巨大ビル、シルフカンパニー本社の成れの果て…。"つわものどもの夢のあと"とはよく言ったもんだよ。
あんたもそう思わんかえ?」

「…そうですね」

女性の言葉に、老婆は笑い声をあげた。


「さてと…」


がっ

ガララ!


老婆は"あるもの"を掘り出した。


「もしや…と思って来てみたけど、探してみるもんだねェ…、フェフェフェ…。

これで間違いないね、ミーナ?」

「はい。間違いありません」

「……」

老婆は女性…ミーナの顔をジッと見る。


「よし…お前の言葉を信じよう。帰るよ」

二人はその場を後にする。


「ミーナ…何故あたしらに付き合う?お前は自由なんだ、旦那と娘の元に帰らないのかい?」

「…私が貴方たちの側にいてはダメなんですか?」

「そうは言ってないさ。
ただ、お前にはなんのメリットもない…逆に、探し回っている家族のもとに行った方がメリットがあると思ってねぇ、フェフェフェ…」

「……」

「ただ、変な気を起こすんじゃないよ。
お前が逆らえば、いくらワタルといえども…容赦はしないだろうよ」

「分かってますよ。…貴方たちは、私にとって"恩人"ですから…」

邪魔はしません、とミーナは言う。


二人はヤマブキシティを去って行った―…。



















ロケット団の本拠地シルフカンパニー本社ビルにて、繰り広げられたあの戦いから…













二年という歳月が経過していた――!













― マサラタウン北 ―



パカラ パカラ パカラッ

ドドドド



[ヒヒ〜ン!]

「こ、こら!いい子だから大人しく……。

あ!」

ポニータを宥める郵便配達人は、進行方向に二人の人影がいることに気づく!


「あ…!危なーい!君たち!気をつけ…」


スク!


「!?」


カチ☆ ボン!


「!!」

ポニータの前にフシギバナが現れた!


ポヒュ!

パアアアア


[!!;] がく!


ポーン


「うわわ、うわああ」

フシギバナが使った"しびれごな"によってポニータの暴走が止まったが、その反動で郵便配達人が飛ばされてしまう!


「地面にぶつかる!!」

『ウイン!』














ドサッ


「!? あ…」

郵便配達人が目を開けると、ウインディの背にいた。


『大丈夫ですか?』

「よしよし。ポニータも貴方も怪我はないみたいだね」

郵便配達人は、自分を助けてくれた少年と少女をポカンと見つめてたが、気を取り直して二人に話 かける。


「いやいや、助かったよ。急にはりきって走り出すもんだから。思わず手綱を離してしまって」

『ここマサラの綺麗な空気は、ポケモンたちを元気にするんです』

「だからいつも以上に走りたくなったんだよな、ポニータ!」

少年と少女の説明を配達人は感心して聞いていたが、ハッと思い出す。


「おっと、いかんいかん、仕事中だった。早くマサラの配達分届けなくては」

「『!』」

二人は散らばった配達物から二枚手紙を手に取った。


「『…』」

「そうそう、君たち、マサラの人間なら、知ってるかな?"マサラタウンのレッド"と"クリア"。それらの宛先なんだけど…」

その言葉に二人は笑みを浮かべる。


「勿論知ってるさ!」

『マサラタウンのレッドは彼で、クリアは私のことだもの(笑)』

「ええっ!?
じゃあ、君があの前回のポケモンリーグ優勝者で、君が準優勝者!?」

「そういうこと!手紙は確かに受け取ったよ!」

『配達ご苦労様でした!』

唖然とする配達人を残し、二人はそのまま本当の待ち合わせ場所に向かう。


「ちょっとアクシデントあったけど、時間は大丈夫だよな」

『大丈夫!あの人は時間に煩くないもの♪

あ!居たっ、父さーん!』

クリアの声に反応した男が二人を振り返る。


『お帰りなさい!父さん!!』

「おっと…ただいま」

アツシは飛び込んで来たクリアを受け止め、頭を撫でてやる。


「レッドくんも久しぶりだな」

「お久しぶりです、アツシさん!」

三人は挨拶をすませると適当に腰をおろした。


「話は聞いてるぞ…チャンピオンは大変だな」

「あはは…でも、オレバトルが好きですから(笑)」

『レッド、本当に楽しんでるよね(笑)』

「ははっ、それが一番だ(笑)
クリアは図鑑のデータ集め頑張ってるみたいだな」

『うん!たまに挑戦者の相手をしたりするけど、基本マサラでおじいちゃんの手伝いしてるの』

互いの近況を話盛り上がる三人。

区切りの良いところでクリアが言いにくそうに口を開く。


『…父さん、母さんのこと…何か分かった?私は情報が掴めてないの…』

「…確証が得られてないが…情報がなかったわけじゃない」

「『!』」

「ただ…もう少し探りを入れる必要がある。また情報を集めにいくよ」

『うん…』

「あの!何か手伝えることがあったら言って下さい!
オレ…力になります!!」

『レッド…』

「ああ…ありがとう。

そうだな、オレが君にやって欲しいことは…
@図鑑のデータ集め、そして完成
A挑戦者の相手
Bジムリーダー資格獲得

…だな(笑)」

「アツシさんっ…;;」

「あはははっ!」

『クスクス』


ヒョオっ!


「あ…しまった;」

「よっと」 パシッ

風で先程届いた手紙を飛ばしてしまったレッドだったが、アツシが捕まえ彼に手渡した。


「挑戦者かい?」

「多分…」

『あ…私にも来てたんだった』

二人は封を切り中身を読む。


「なあ…手紙の差出人が同じじゃないか?」

『本当だ…』

二人は互いの手元を見比べている。
一方…、


「……」

アツシは二人が置いた封筒に書かれる差出人をジッとみている。


『父さん…?』

「!…あ、どうした?」

『いや…真剣な顔で差出人見てたから知り合いかなって思って』

「いや、違うよ(苦笑)
二人はこの人の挑戦を受けるのか?」

「はい!」

『…私は、この日カツラさんと約束があるから…』

「ああそっか。例のあれだよな」

『うん…レッド、私の代わりにこの人に伝えて貰ってもいい?』

「おう、いいぜ!」


「レッドくん…オレがバトルを見に行っても構わないか?」

「え!見に来てくれるんですか?」

「君が良ければの話なんだが…」

「勿論良いです!」

よーし!絶対勝つぞ〜!と燃えるレッドに、ありがとうと礼を言うアツシ。


『(ふふっ…二人は本当に仲良くなったなぁ)』

「クリアもさ、用事終わったら来てくれよ!
なっ?良いだろ?」

『良いよ!私も久しぶりにレッドのバトル見たい!!』

「おう!
約束だぞ、絶対来いよ//」

『はいはい、分かってる(笑)』


「全く…(苦笑)」

二人を苦笑して見守るアツシ。


「長閑だなぁ」

彼はそう呟くと空を見上げたのだった…。













この時、この挑戦者によって苛酷な運命がもたらされることを――、















まだ誰も知らない…















 
 

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