POKEMON'S DREAM
□第2話 イエローという少年
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一晩明かしたグリーンとクリアは、イエローのもとに向かっていた。
『じゃあ…そのなついたキャタピーをイエローは育てているのね』
「ああ。もうトランセルになってるだろうな」
ザッ
「『!?』」
はあ、はあ…
「グリーンさん…。
まだつかまえられませ〜ん;;」
「っ;」
『(イエローの状況も驚くけど…あのグリーンがズッコケたよ…;)』
そんな二人に構わず、イエローは捕獲が苦手だという。
「…;」
『あの…何で苦手なのかな?(グリーンをこんな状態にするなんて…)』
驚きで口をきくのも忘れているグリーンの横でクリアはイエローに問う。
「捕まえる前に傷つけなきゃいけないでしょう?それがどうしても出来なくて…。なんとかバトルせず捕まえられないか練習してたくらいで…。人やポケモンを助けなきゃと思った時は何時も無我夢中だし…」
『そっか…(グリーンまだ立ち直ってないよ;)
グリーン』
クリアが彼の肩を叩くとやっと言葉を発した。
「…何か技を出してみろ!そのコラッタ何が使えるんだ?」
「ええと…、ええと…」
「何で自分のポケモンなのにわからないんだっ!!」
『グリーン落ち着いて;』
クリアはグリーンを宥めるとイエローに近づく。
『コラッタの基本技は"たいあたり""しっぽをふる"そして"でんこうせっか"。
じゃあまず"たいあたり"を命じてみよっか?』
「は、はい…」
イエローに少し迷いがある。
『ねぇ、貴方はキャタピーと友達になりたくないの?』
「! いいえ!」
『だったら…友だちになるためにも頑張ろう?キャタピーもそれを望んでるよ、きっと(微笑)』
「…はい!」
それから、グリーンとクリアの指導のもと、イエローは奮闘したのだった。
―――…
「はあ、はあ。はあ…はあ…、や…やった!アハハ」
『良かったね、イエロー!』
「はい、クリアさん!」
キャタピーのボールを大切そうに握りしめ、クリアに頭を撫でられて笑顔を彼女に向けるイエロー。
グリーンはその様子にこっそりと溜め息をつく。
「(自己紹介も無しに仲良くなってやがる…)レッドから預かっているピカチュウは兎も角として、コラッタとドードーを捕まえた時はどうしたんだ?」
「ラッちゃんの時は、今お二人にしていただいたみたいに…、横でタイミングを教えてくれる人がいましたから。
ドドすけはほかの人に貰いました」
『へぇ〜』
「そして、この三匹だけで旅してきたのか…」
ピク
「!? グ…グリーンさん、クリアさん大変です!ラ、ラッちゃんが…」
「レッドの図鑑を持っているんだろう。開けてみろ」
『"進化"の瞬間がきたのよ』
「?????」
「最近急に戦わせるようになったことで、一気にレベルがあがったんだろう。
"進化"すれば、覚えられる技も増えて戦いも有利になる」
『うん』
図鑑をジッと見つめるイエローだったが、ふと顔をあげる。
『あのう、…"進化"って…なんですか!?;;』
「!!;」
『え…;(やな予感)』
シュー
そして、ラッちゃんの変化が終了する。
「!! ラッちゃんが!!ボクの…、ラッちゃんが!!
う…う…」
「『…;;』」
俯くイエローを恐る恐る見守るグリーンとクリア。
うわ〜〜〜ん
『い、イエロー;;』
クリアは彼の側に寄り添い宥める。彼は彼女に気づくとその胸に顔を埋め泣き止む気配がない…。
「(なんて奴だ!"進化"を知らない!自分のポケモンが"進化"したら泣きわめく!こんなトレーナー、見たことも聞いたこともない!)」
かく…
『大丈夫、大丈夫だから…』
「……?」
クリアの声だけが聞こえるようになり、グリーンが振り向く。
すると、クリアの膝に顔を乗せ眠るイエローの姿があった。
『泣きつかれて…眠っちゃったみたい(苦笑)』
「…ったく」
グリーンは溜め息をつくのだった。