POKEMON'S DREAM
□第3話 イエローの力
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― 一週間後 ―
「だああああ!」
ガガ!
「次だ、ドドすけ」
ドドすけが岩を蹴りあげる!
グオ
ガガ!
それをラッちゃんが砕く!
「やったぞ。ドドすけ、ラッちゃん」
「『……』」
それを、グリーンとクリアは遠くから見守っていた。
「戦闘の技術…という点ではまだまだだが、それぞれのポケモンの力自体はかなりあがってきたようだな」
『そうだね…、イエローやる気十分だから(笑)』
「よほど"進化"させるのが嫌らしいな」
『まあまあ。理由はなんだっていいじゃない!』
「まあな」
「次はオムすけっ!ゴロすけっ!」
ボボン
「えっと…;
ああ、アレ?オーイ!二匹とも、オーイ!!」
イエローが図鑑を確認する間に逃げていく二匹…。
「ええっと…。そうか、技名を言わなきゃいけないんだっけ!オムすけとゴロすけの覚えている技は…」
イエローは二匹を抑えながら図鑑で調べる。
しかし、扱いにそうとう手こずっているようだ…。
そうしてる間に、
「!! あ…、オ〜イ!!;;」
また二匹は逃げ出した。
『…あの二匹はカスミとタケシから貰った子たちなんだっけ?』
「ああ。暫く言うことをきかないのは仕方ない。だが、もともとはジムリーダー所有のポケモンだ」
『戦力にはなりそうだよね』
「ああ」
しかし、二人がイエローを見ると…彼は二匹から技を受けているところだった…。
『…;;』
「…まずあいつは、あのポケモン知識の足らなさをなんとかしないと;;」
『う〜ん…。あ!こういうのはどうかな?』
「?」
ピッ
「ええと…いねむりポケモン…カビゴン。タイプ・ノーマル、覚える技は"すてみタックル"と"かたくなる"と…」
イエローは図鑑の内容を確認すると、スケッチブックに描いていく。
「ああっ、頭いった〜;;」
『ファイト』
「はい」 グッ
イエローは、二人から言われレッドの図鑑の内容を覚えていた。クリアは質問の対応をしている。
一方…
「…」
サラ…
グリーンは大地の様子を見ていた。
「(やはり…、大地の荒れ方がかなりひどい。以前きたときにはもう少し草木があったが、工業地跡からくる地質汚染がここまで…!?)」
『(グリーン…、何か分かったのかな?)っ!』
ビリ…
「? クリアさん?」
イエローは辛そうにする彼女を気づかう。
『大丈夫…少ししたら治まるから…(技を受けた部分からの痺れか…。時々なるから困るな…)』
その時!
『!』 バッ
「どうし…、うわあ!!」
三人の周りにはマンキーの群れが!完全に囲まれてしまった!!
『マンキーか…。この子たちがこんな風にさっき立っているということは…、きっと空腹なのね』
「空腹!?」
「ああ、恐らくあの大群全体が…食料を求めて移動してきたんだろう…。
この近辺、かなりの勢いで草木が減っているようだからな。住みかを追われたり食いはぐれたりしたやつらか…」
『そんな…』
バ バッ
「わっ!」
「これだけの数を相手にできりゃあ本物だ。
この包囲網を抜けるぜ!!」
「『ハ、ハイ!/うん!』」
三人は手持ちを出し、それぞれ戦う!
『"かえんほうしゃ"、"でんきショック"!(くっ…)』
だが、数はなかなか減らない!
トン
『! グリーン…』
「…手足は平気か?」
『(気づいてたんだ…)このくらいへっちゃら!』
二人は背中合わせで戦う!
『イエローもなんとか応戦してるけど…このままじゃあラチがあかない!』
「…オレに考えがある。クリアはこのまま側で応戦してくれ!」
『了解!』
グリーンは頷くとイエローに叫ぶ。
「オイ!見ろ!あの…遠くで一匹だけ戦いに加わらないやつがいるだろう、…奴だけを群れから引き離せるか?」
「ええ!?」
『(オコリザル…!)』
グリーンのいう通り、一匹だけどん!と座って様子を伺っている。
「やつが群れの親玉だ。他のやつはオレたちが引き受ける!!
十分離れたら…図鑑を開くんだ!!いいな!」
「…は、ハイ!!ドドすけ!!」
『(何をする気なの…? ! もしかして)』
イエローがボスにちょっかいを出し、群れから引き離す!
すると…、
『群が迷い出した…!』
「やはりな…、親玉の統率が乱れ、群が混乱し始めた」
『流石!でも、イエローが…』
「考えてある!
今だ!!」
グリーンがモンスターボールを開きながら図鑑をイエローに向けた!
シュウウン
ビシュ!
イエローにオコリザルが迫る!
だが!
メキ!
シュウウウウ
『ポリゴン!』
そして、ポリゴンの技でオコリザルが倒れた。
「"トライアタック"。
初めて試したが上手くいったぜ。ポリゴンの電子空間移動」
『電子空間移動…?』
「ポリゴンは体そのものがプログラム。電子空間を移動出来ることを利用し、図鑑から図鑑へ転送したわけだが…」
『あ…』
ボスが倒されたことを知り、群が去っていく。
『ボスの傷は…』
「心配するな、致命傷は与えていない」
二人はイエローのもとに行く。
「『!』」
ポウ…
「!!(これが、おじいちゃんの言っていた…)」
『この力…!』
この子大丈夫!?助かる?
大丈夫だ 母さんに任せろ
ポウ…
…ピ?
あ…気がついた!よかったあ…
ピ!
これで大丈夫だと思うけど…、念のため博士のところに連れて行きましょうね
うん!
『(クロスを助けた母さんと同じ…)』
「(クリア…)」
「…お前…、群れのみんなのために食べ物を探さなきゃいけなかったんだよね」
イエローは優しくオコリザルを撫でている。
「さあ、群れの皆が待ってるよ」
そして、オコリザルは群れに戻っていくのだった。
ザザ…
「本当は色々教えていただきたかったんですけど…、なんだか、甘えすぎちゃう気がして…。
だから行きます!ありがとうございました。
グリーンさんのおっしゃっていた戦いの厳しさとかも、ちょっとだけ分かった気がします」
「…」
グリーンはゴルダックを出すとその背に乗る。
「ここからなら、どこへ行くのでも海路のほうがいい。"なみのり"はできないよな…!?あそこに見える定期船を使え」
「ハイ!」
船を示した後、グリーンはクリアに向き直る。
「じゃあな…クリア」
『うん…、気をつけて』
「…お前たちもな」
ザザザ…
「グリーンさーん!!またー!」
『またどこかでねー!!』
見送った後、イエローが口を開く。
「あの…クリアさん。本当に、ボクとで良いんですか?
グリーンさんと行ったほうが…」
『ふふっ、私がそう決めたんだから良いの!
…私は手持ちが少ないし、足手まといになるかも知れないけど…』
「そんな!ボクの方こそまだまだなのに…!」
『ううん、イエローは随分のびたよ!』
「いえ、まだまだです…!」
「『……、ぷっ!』」
あははははっ!
二人は笑い合う。
『よろしくね、イエロー!』
「よろしくお願いします、クリアさん!」
『じゃ、乗り場に急ごっか』
「ハイ!…あの、」
『ん?』
イエローは麦わら帽子に手を置き、なにやら言いにくそうにしている。
暫く躊躇ったが…、
「……、何でもありません。行きましょう」
『? うん』
こうして、イエローとクリアの旅が始まった。