POKEMON'S DREAM

□第6話 竜を操る青年
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― クチバ湾 ―



『…』

「はあ〜。
海…。どーやって渡れば良いのかなぁ〜」

イエローとクリアは海を見てため息をつく。


『ここまで来るのに使ったサントアンヌ号は壊れちゃったし…』

「唯一の水ポケモンはボクのオムすけだけど、"なみのり"を覚えていませんし。第一、人を乗せて海を渡れるほど体は大きくありませんからね」

『一応新しい水ポケモンを探してはいるけど…、ここはメノクラゲたちしかいないね』

「あれもダメ、これもダメ…か」

『仕方ないね。ため息をついててもしょうがないよ(苦笑)』

「はい!
方法は一つしかありまそん。明日、別の水辺に行って新しい水ポケモンを探しましょう!!」

二人は意気込んで立ち上がる。


『もう遅いから、ポケモンセンターに行く?』

「あ…な、なんか今ので目が冴えちゃいました(苦笑)」

『じゃあ…ポケモンたちの技の練習でもする?』

「はい!
じゃあ、やるか!ピカ!!」

イエローは技の練習を始める。


『(うん…、大分慣れてきたね、イエロー)』

イエローは一通り技を出し終える。


そして、最後の技"みがわり"のみとなった。


『(レッドに勧められて、クロスにも身代わりを覚えさせたけど…タイミングが難しい技だったなぁ)
イエロー、ピカ!ファイト!!』

「はい![ピ!]」


「いくぞピカ!
"みがわり"!」


技は見事成功!


「やった!!」

『すごいすごい!
あとは、本体と分身にそれぞれ指示を出すタイミングを練習するだけね』

「はい!」

喜びあっていると、


「き…えええ――」


『!』

「な、なんだあ!?」


「た…助けて!」


大波に人がのみこまれており、それがこっちに向かってきている。


「あ、危ないピカ!」


ザプン!


「ああ、分身ピカが!!」

『消えちゃった…』


どすん


「あいててててぇーっ!!」

『! 大変!』

「だ、大丈夫ですか!?」

ピーすけの糸でギプスを作り、足を固定してやる。


「おー。あ、ありがとうございマース。助かりマシタ!アタタタ;」

「こ…こんな夜中に…一体何をしてたんですか?」

「これデースよ、コレ」

『…チラシ?』

二人は渡されたものを読む。


「"サマービーチなみのりコンテスト"ぉ!?」

『へえ!』

「ソーデース。
ワタシの名は海パン野郎。
これまでカントー中のあらゆるレース、コンテストに出場してきた、選手権大好きなトレーナーデース!!
しかーし、明日このクチバ湾で行われる大会のために最後の調整をしていましたが…、大波にのまれてしまって。
この足では明日は無理デスネ、折角出場権をとったのに…;」

「あ…」

『どうしたの?』

イエローはチラシのある一文にくぎづけだ。そこには、"ハクリュー"が商品と書かれている。


「ハクリューか…」

『なみのりにはもってこいのポケモンね』

「オーそうダ!!ユーたちのどちらか出マスカ?ワタシのヤドン貸しマース!」

「ええ!?」

『いいんですか?』

「親切にしてイタダイタお礼デース!!」

「『!』」

「よーし!」

『海パンさん、ありがとうございます!』







―――…







― クチバ湾 ―



ポン ポン


ワー ワー


≪今年もやって参りました!
クチバ湾サマービーチなみのりコンテスト!!≫


『(頑張って、イエロー!)』

昨晩、クリアは手足のしびれのため、出場をイエローに任せたのだ。
イエローに手を振ると、嬉しそうに振り返してくる。


≪優勝者に贈られるのは!≫

その声とともにハクリューが出てくる!
観客たちの興奮がピークになる。


『(…ビアンカ、みんな…元気だといいな。無事なんだよね…)』

「クリアさん?」

『あ、なんでもないです』

海パンに話かけられ、我に返るクリア。


≪オープニングセレモニーでは、このハクリューのなみのりデモンストレーションが行われます≫

ハクリューが優雅に泳ぎだす。


ピクン


『え?』

突然、ハクリューの動きが止まる。



ザザ


ゴオオ



『な…!』

ハクリューの目つきが変わって暴れ出し、海上が荒れる!


『急にどうして!?…ハッ!』



オオオオオオ



ハクリューの頭上に人影が見える!!



ズオオオオオオ



≪何が起こったのか分かりませんっ!
と、突然ハクリューの周囲に渦が出現し、選手たちが巻き込まれて…!?
あれは何でしょう!?ハクリューの頭上に、人影が!!≫


「うるさいぞ」














カ!














『そ…そんなっ…(はかいこうせんで…クチバの町が!!)』

クチバ湾から見えるくらいの大穴があいている!!


『! イエロー…』 タッ

選手たちは浜辺に全員うちあげられていた。


『大丈夫!?』

「は、はい…」


「出てこい!何処にいる!」


『(誰かを…探している!?)』


「……、もう移動していたか?フフフ。
行くぞ、ハクリュー」



ザザザザ



『…イエロー』

「はい!」


ボン


「イエローくん!!クリアさん!!何を!?」

ドドすけとウインに乗る二人に海パンが話しかける。


『…あの人を追うわ!海岸線沿いに追えるところまで行ってみる!』

「ええ!?」

「海パンさん、この子はお返しします。
お借りした"お友達"を傷つけるわけにはいきませんから…」

「だってユーたちは"なみのり"できるポケモンがないのでショウ!?追うっていっても…」

『心配しないで…大丈夫!』


ダ!


二匹は駆け出す!


「あ…あんな凶暴なやつに挑もうっていうんですかぁー!?」

「ボクたちは…、ある敵に狙われています。
もし今のがボクたちを探しに来た敵で…、そのために町があんなになったんだとしたら…」


その言葉を最後に、二人は駆け去っていくのだった――。
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