POKEMON'S DREAM

□第2話 イエローという少年
2ページ/2ページ




―――…



「ほら、クリア」

『ありがとう、グリーン』

缶詰を受け取るクリアの膝には眠るイエローの姿が。イエローの側にはラッちゃんがついている。


「…起きる気配が全然ないな」

『今日はキャタピー捕まえるのに一生懸命だったから(笑)その疲れもきたんじゃない?』

「成る程な」

『…初めての進化、かぁ…』

「?」

『いや、私もね、イエローと似た体験をしたんだ』

「…」

クリアは自分を支えているウインを撫でながら話し始める。



私は師匠に進められて、ウインをガーディからウインディに進化させたの

でも、ガーディとウインディじゃ大きさが違うし、迫力も違うでしょ?
だから最初は、私ウインに触れなかったの

でもね…



『ウインは…ウインのままだった。私への気遣いやじゃれつき方がそのままだった。
それを知った時…私はウインと接することが出来るようになったの』

グリーンは何も言わず話を聞いている。


『だからね…イエローとラッちゃんが乗り越えられることを私は信じるよ』

「そうか…」

『うん』

「…で。お前は一晩そうして過ごすつもりか?」

『まあね。でも、大丈夫。ウインが支えてくれてるし、クロスやピカが寄り添ってくれてるし…結構温かいんだよ(笑)』

「…甘い奴だ」

『そうかもね。でもその分、グリーンが厳しくしてくれるんだよね?』

「…ふん」

と言いつつ、グリーンは寝床を近くに用意し始めるのだった。







―――…







「う…ん…」

『…? イエロー…?』

「…え!?うわわっ!!」

イエローは自分の状態に気づくと、慌てて起き上がる。


「ぼっ、ボク…あれからずっとクリアさんに…!す、すみませんっ!」

『気にしないで(笑)
はい、濡れタオル。これで目元押さえると、腫れが引くよ』

「あ…ありがとうございます…」

イエローは素直に受け取る。


「あの…」

『うん?』

「グリーンさんは…」

『…大丈夫。
ねぇ、先ずはさ、ラッちゃんと話し合ってみなよ。それからの方が良いんじゃないかな?グリーンと会うのは…』

「…はい!」

イエローたちをその場に残し、クリアはグリーンが修業をしている場所に向かうのだった。


暫くしてイエローがラッちゃんと共にやってくる。


「昨夜は…すみませんでした。
"進化"って…知らなくて…。いきなりずっと一緒だったラッちゃんが違う姿になって…、ちょっと驚いただけです…。
ごめんなさい!」

「…」

「でも!どんな格好になってもラッちゃんはラッちゃんです!もう気にしません!」

『イエロー…(良かった)』

「…。"進化"させたくないというのなら簡単なことだ。
キャンセルすればいい」

「!!」

『あ…図鑑の機能か』

「そうだ。
昨日みたいに震え始めたら、図鑑を開いてキャンセルボタンを押すんだ。図鑑から発信される波動がポケモンの進化を止める。
…図鑑を持っている者だけの特権だ。
捕獲も苦手、進化も苦手…。スケッチブックが図鑑代わりのお前だが、そのボタンは役に立つだろう」

「グリーンさん…」


「ただし!」

それまで背を向けていたグリーンが向き直る。


「四天王に挑もうとしている今…、本当にそれで良いのかは自分で決めろ!」















― スオウ島 ―



「全く…この島はいつ来てもオドロオドロしいねぇ。
ま、あたしが言うのもなんだがね、フェフェフェ」

ヤマブキシティにいた老婆と女がいた。女は、あの機械を抱えている。


「ミーナ」

彼女は機械を置く。それを老婆が調べ始める。


「炎・岩・草・電・毒・水・念…。七つのエネルギーを吸い二年前こいつは発動した。だが、」


パカ


「!」

ミーナの驚きに老婆はにんまりする。


「トレーナーバッジ八つめのエネルギーを取り込むこの部分の存在には、誰も気付かなかったねえ。フェフェフェ!!」

「(こんな部分があったなんて…この人たちは何をしようとしてるの…!)」



ザッ



「…で、その中央部分にはまる八つめのバッジは見つかったのか!?キクコ」

「おおー、いたのかえ」

「!…」

二人の背後には、マントを着けた青年がいた。


「心配なさんな。調査はぬかりなく進んどるさ。フェフェフェ…。

のう、ワタル」

そう聞くと、ワタルは踵を返した。


「待って!」

「…ミーナさん」

「お願い、ワタルくん…私の話を聞いて欲しいの」

「悪いが、今は無理だ。今から出かけるんでな」

「そう…、…どちらまで?」

「クチバだ」



ザッ


ドシュ!



ザザ――ン…



 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ