POKEMON'S DREAM
□第2話 イエローという少年
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―――…
「ほら、クリア」
『ありがとう、グリーン』
缶詰を受け取るクリアの膝には眠るイエローの姿が。イエローの側にはラッちゃんがついている。
「…起きる気配が全然ないな」
『今日はキャタピー捕まえるのに一生懸命だったから(笑)その疲れもきたんじゃない?』
「成る程な」
『…初めての進化、かぁ…』
「?」
『いや、私もね、イエローと似た体験をしたんだ』
「…」
クリアは自分を支えているウインを撫でながら話し始める。
私は師匠に進められて、ウインをガーディからウインディに進化させたの
でも、ガーディとウインディじゃ大きさが違うし、迫力も違うでしょ?
だから最初は、私ウインに触れなかったの
でもね…
『ウインは…ウインのままだった。私への気遣いやじゃれつき方がそのままだった。
それを知った時…私はウインと接することが出来るようになったの』
グリーンは何も言わず話を聞いている。
『だからね…イエローとラッちゃんが乗り越えられることを私は信じるよ』
「そうか…」
『うん』
「…で。お前は一晩そうして過ごすつもりか?」
『まあね。でも、大丈夫。ウインが支えてくれてるし、クロスやピカが寄り添ってくれてるし…結構温かいんだよ(笑)』
「…甘い奴だ」
『そうかもね。でもその分、グリーンが厳しくしてくれるんだよね?』
「…ふん」
と言いつつ、グリーンは寝床を近くに用意し始めるのだった。
―――…
「う…ん…」
『…? イエロー…?』
「…え!?うわわっ!!」
イエローは自分の状態に気づくと、慌てて起き上がる。
「ぼっ、ボク…あれからずっとクリアさんに…!す、すみませんっ!」
『気にしないで(笑)
はい、濡れタオル。これで目元押さえると、腫れが引くよ』
「あ…ありがとうございます…」
イエローは素直に受け取る。
「あの…」
『うん?』
「グリーンさんは…」
『…大丈夫。
ねぇ、先ずはさ、ラッちゃんと話し合ってみなよ。それからの方が良いんじゃないかな?グリーンと会うのは…』
「…はい!」
イエローたちをその場に残し、クリアはグリーンが修業をしている場所に向かうのだった。
暫くしてイエローがラッちゃんと共にやってくる。
「昨夜は…すみませんでした。
"進化"って…知らなくて…。いきなりずっと一緒だったラッちゃんが違う姿になって…、ちょっと驚いただけです…。
ごめんなさい!」
「…」
「でも!どんな格好になってもラッちゃんはラッちゃんです!もう気にしません!」
『イエロー…(良かった)』
「…。"進化"させたくないというのなら簡単なことだ。
キャンセルすればいい」
「!!」
『あ…図鑑の機能か』
「そうだ。
昨日みたいに震え始めたら、図鑑を開いてキャンセルボタンを押すんだ。図鑑から発信される波動がポケモンの進化を止める。
…図鑑を持っている者だけの特権だ。
捕獲も苦手、進化も苦手…。スケッチブックが図鑑代わりのお前だが、そのボタンは役に立つだろう」
「グリーンさん…」
「ただし!」
それまで背を向けていたグリーンが向き直る。
「四天王に挑もうとしている今…、本当にそれで良いのかは自分で決めろ!」
― スオウ島 ―
「全く…この島はいつ来てもオドロオドロしいねぇ。
ま、あたしが言うのもなんだがね、フェフェフェ」
ヤマブキシティにいた老婆と女がいた。女は、あの機械を抱えている。
「ミーナ」
彼女は機械を置く。それを老婆が調べ始める。
「炎・岩・草・電・毒・水・念…。七つのエネルギーを吸い二年前こいつは発動した。だが、」
パカ
「!」
ミーナの驚きに老婆はにんまりする。
「トレーナーバッジ八つめのエネルギーを取り込むこの部分の存在には、誰も気付かなかったねえ。フェフェフェ!!」
「(こんな部分があったなんて…この人たちは何をしようとしてるの…!)」
ザッ
「…で、その中央部分にはまる八つめのバッジは見つかったのか!?キクコ」
「おおー、いたのかえ」
「!…」
二人の背後には、マントを着けた青年がいた。
「心配なさんな。調査はぬかりなく進んどるさ。フェフェフェ…。
のう、ワタル」
そう聞くと、ワタルは踵を返した。
「待って!」
「…ミーナさん」
「お願い、ワタルくん…私の話を聞いて欲しいの」
「悪いが、今は無理だ。今から出かけるんでな」
「そう…、…どちらまで?」
「クチバだ」
ザッ
ドシュ!
ザザ――ン…