BOOK(企画)
□御守り
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羽衣狐らが支配せんとしている京――。
式神の秀元率いる陰陽師と、黒田坊や河童を含めた奴良組一行は、第七の封印・柱離宮から第六の封印・龍炎寺へ向かっていた。
「首無のヤツ…龍炎寺でも暴れていると思うか?」
集団の先頭を走りながら黒田坊は危惧していた。
それに河童が答える。
「だろうね。毛娼妓が後を追ってるんだと思うけど…」
「手遅れにならなければいいが…」
そこで黒田坊は何かに気付いたのか、足を止めた。
龍炎寺はまだ先だ。
「なんや、どうしたん?」
訊ねたのは秀元だ。
黒田坊は明後日の方向を睨んでいる。
「何かの…声がしたような…」
「何かって?」
今度は河童が訊ねる。
「河童、すまない!先に行ってくれ!すぐに追いつく!」
そう言うや否や、黒田坊は集団から外れて走って行ってしまった。
「なんや?」
「さぁ…」
秀元と河童は顔を見合わせた。
「ま、時間もあらへんし、とりあえずは進もか」
「そうだね」
秀元の一声で、足踏みしていた集団はまた進み始める。
「それにしても、何の用事やろな?」
「オイラに言われてもねぇ」
走りながら(片方は飛びながら)呑気に会話をする二人。
「まー、あの坊さんもなかなか男前やし?まさかとは思うけど、戦いの最中に女性のとこに通ってたり…なーんて」
「…あながち間違いじゃないかもね」
「あらま」
目を瞬かせる秀元だった。
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