BOOK(企画)

□嫁探しは運命の出逢い
1ページ/9ページ


教卓の横に並ぶ、二人の少年。

教室中の視線が彼らに注がれていた。

中学生活のちょうど真ん中の時期に、浮世絵中学校にやって来た転入生だ。

向かって左の少年は、つり目がちで髪は薄い茶色、前髪の左側が少し長く、そこが銀メッシュになっている。

「はじめましてっ!オレ、慧って言います。よろしくね!」

彼は白い歯を見せて、人懐っこく笑った。

それに色めき立つ女子生徒たち。

慧と名乗った少年の隣、もう一人の少年は、こちらもつり目がちだが髪は漆黒、右側の前髪が長めだった。

どちらかと言えば、落ち着いた印象を受ける。

彼らは揃ってすらりとした体型に、やや面長の整った目鼻立ち。

そして――。

「はじめまして。慧の双子の弟、耀です。どうぞよろしく」

髪の色と表情を除いて、二人の間に鏡があるのではと思うほど、瓜二つであった。






目立つ二人は、昼休みには当然ながら多数の生徒に囲まれた。

その中で慧は、勉強していた隣の席の女子生徒に声をかけた。

「ねぇ、君」

「うん?」

女子生徒は顔を上げる。

「よかったら名前、教えてよ」

「あ…家長カナ」

「へぇ。カナちゃんか」

頬杖をつくだけでも、モデルのように様になる慧。

おもむろに身を乗り出すと。

「可愛いね」

ちゅっ、と、カナの頬に熱烈なキスを贈った。

「ひゃあぁっ……」

真っ赤になって頬を押さえ、カナは慌てふためく。

一斉に騒ぎだす周囲。

それを意に介さずに上機嫌の慧の肩を、誰かがぽん、と叩いた。

「慧、彼女が困っているだろう」

双子の弟・耀だ。

「なんだよ、耀。こういうのは早い者勝ちだろ」

「お前は性急すぎる。少しは物事を考えてから行動しろ」

たしなめる弟に、兄は口を尖らせた。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ