BOOK(企画)

□花を贈ろう
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「ゆらーーー!」

「ぎゃあぁぁっ!!」

馬頭丸はゆら宅を襲撃、もとい、訪れた。

しかし、ドアを開けた途端にお札が飛んできたものだから、慌ててよけた。

「何するのさ、ゆら。危ないじゃないか」

「それはこっちの台詞や!ノックもせんといきなり開けるやなんて、非常識にも程があるわ!」

退魔の札を構えて、ゆらは臨戦体制だ。

それを馬頭丸は、まあまあと宥める。

「せっかく、ゆらにいいもの持ってきたのに」

「いいもの?なんや?」

興味を引かれたらしいゆらが、札を下ろす。

そこですかさず、馬頭丸は花束を差し出した。

「はいっ!」

「花?なんや、あんたでもたまには気のきいたことするんやな…」

やや照れながら、花束を受け取ったゆらだ…が。

「…………んん?」

花を見て、くわっと牙をむいた。

「馬頭丸ぅぅっ!なんやこれはぁぁぁーっ!」

「なんでぇ!?」

何がなんだかわからない馬頭丸は、目を白黒させる。

「これ菊やんかー!菊は墓とか、仏壇に飾るもんや!」

「えぇっ!?」

馬頭丸はのけぞった。

「つまりあれか!私に、はよ墓に入れ言うことか!!」

「違うって…!よく見てよ、小さい花でしょ?赤いのがゆらに似合うと思って…」

必死に弁明する馬頭丸だが。

「うるさーい!そこになおれ!滅したるっ!」

再び札を振りかざし、ついでに花束も振り上げて、ゆらは馬頭丸を追い回した。




菊は菊でも、可愛らしい紅色の花の名は、スプレーギク。

花言葉は“私はあなたを愛する”。

見かけだけに気を取られると、大事な意味を見逃す…かも知れない。



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