BOOK(企画)
□Sensual girl
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「拙僧に、いったいどうしろと……」
額を押さえた黒田坊は、いっそ悲壮と言える呟きをもらした。
夜が更けてから、人目を忍んでこっそりと夏実のもとを訪れた。
毎回会うたびに、他愛のない話をするだけなのだが、夏実はちゃんとお茶を用意して待っていてくれる。
黒田坊が夏実と関わってから、およそ四年が過ぎた。
少女だった夏実は、年頃の娘へと変わったと思う。
その証拠が、これだ。
夏実はベッドに横になり、すうすうと寝息をたてていた。
寝顔は可愛らしい。
――が、格好が大問題である。
Tシャツワンピとか言う、丈の短い洋服からは、素肌の健康的な太ももが伸びている。
さらに襟が広く開いていて、下着の紐が見えてしまっている。
極めつけは姿勢。
夏実は体ごと横を向いて、片方の脚を曲げていた。
それはどういうことかと言うと。
夏実が少しでも動くか、もしくは黒田坊が立つ位置を変えれば、裾の奥が見えてしまうのだ。
その奥は彼女の大事な領域だ。
決して覗きたいとか、美味そうだとか考えてはいけない。
そもそも、男が来るとわかっているのに、無防備に寝るのはありえない。
それはしっかり教えないといけない。
意を決して、黒田坊はベッドのわきに膝をついた。
夏実の額だけを見ることにする。
……でないと、余計な場所に視線がいきそうになるから。