BOOK(企画)
□夢にみるは貴方
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若菜は抱えていた布団を、すとんと下ろした。
日を追うごとに気温は上がり、昼間は暖房なしでも過ごせるくらいだ。
久しぶりに外で干した寝具は、日差しをたっぷり浴びて、いい塩梅に厚みを増している。
こんな時は戯れたくなるのが人のさがだ。
若菜はきょろきょろと首を左右にふって。
「誰もいないわよね……うん、よしっ」
えいや、と重ねた寝具にダイブした。
布団は柔らかく沈んで、若菜を受け止めた。
日光の温かな匂いに包まれる。
ふと、まぶたが重くなった。
優しい誘惑が、若菜を夢の旅へいざなう。
ぬくもりに身を預けて、若菜はとろとろとまぶたをつけた。
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