BOOK(企画)
□Jealousy
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日はとっぷりと暮れ、等間隔に置かれた街灯が住宅街を照らしている。
「それじゃ、家長さん。お疲れさま」
「はい。ありがとうございました」
自宅の玄関の前で、カナは送ってくれた先輩にぺこりと頭を下げた。
「あ、あのさ…」
人の良さそうな彼は、気まずそうに頭の後ろをポリポリとかいている。
もごもごと口ごもった後、思い切ったように口を開いた。
「その…、良かったら、僕と付き合ってくれないかな…?」
「へ、えぇっ!?」
「ごっ、ごめんね!急にこんなこと…!でも僕は本気だから…!」
真っ赤になるカナにつられるように、彼も慌て始めた。
「こ、困ります…。私…」
「あっ、返事は今じゃなくていいからさ!少しでいいんだ!いや、それも悲しいけど…。と、とにかく!考えてくれないかな?」
それにカナがうんともすんとも言う前に、彼は素早く一礼して住宅の間を走り去ってしまった。
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